バトル・ロワイアル 特別篇
七原秋也
「なんだか全部が狂っていたけど、どうすればいいか分からないし、誰も教えちゃくれなかった」
「だけどどんなに世界が狂っていても、俺たちはそれぞれの毎日を楽しんでいた」
「三村とか杉村とかみんな集めて脱出できないかな」
「親父が死んで施設に入ってから、ずっと同じ部屋だった。野球やめて腐ってた時もギター教えてくれたのノブだったのに」
「ちがう、あいつ来てよかった。マジ喜んでた。でも、俺、ノブを助けられなかった。あいつが助けを求めたのに、何も。このままにはしない、俺、ノブの仇を討つ。あいつの代わりに、中川守り抜く」
「どこでも勝手に行けよ。おまえだって人殺しだろ!友達だったんだよ、狂ってるよ!どうしてみんな簡単に殺し合うんだよ!」
「なんでだよ、内海。なんでだよ」
「わかるかよ。こんなの全然わかんねぇよ!!」
「迎えに来てくれたのか。…………武器、持ってきた」
「俺、弱いけど、頼りになんないけど、中川のそばにいる。典子を守る。そのために武器、持ってきた」
「西の廃墟に行こう。今ならまだ禁止エリアをくぐり抜けられる。俺、どうしても三村に会いたい」
「ずっと前から、俺は大人が信じられなかった。親父にしても、母親にしても。勝手に死んだり、勝手にいなくなったり……俺、戦うよ。どうやったらいいのか分からないけどさ。俺がちゃんとした大人になれるまで」
「約束したんだ、俺、典子を守るって」
「今、俺たちはお互いに武器を持っている。いつかまたそれを使う時が来るとして、俺たちはやっぱり迷い続けるのだろう。それでも俺たちは、今よりもっと前へ進まなくちゃいけない」
「どこまででもいい、精いっぱいでいいから、……走れ」
中川典子
「無理だと思う。いやなやつだと思うかもしれないけど、わたしだって他のみんなが怖いもん」
「秋也だけは信じてる。あ、ごめん、ノブくんみたく秋也って呼んじゃった」
「七原くん、ありがとう。結局、食べてもらえなかったな、クッキー」
「私には、その時慶子さんがどんな気持ちだったか分からない。でも、慶子さんはやっぱり、…………川田さんのことが本当に好きだったんだと思う。でなきゃ、その写真みたいに笑えないよ」
「そうだよ。私が慶子さんだったら、川田さんを信じたいし、そんな笑顔の瞬間をくれた川田さんに、やっぱりありがとうって言ったと思う」
「私、今まで自分が普通の女の子ばかりだと思ってた。普通に結婚して、普通に歳とって、お母さんみたいに、でもこのゲームが始まって、今まで何も知らなかっただけだってわかった」
「きれい、みんなが死んだ場所なのに」
「川田さん、本当にありがとう」
「先生刺されたナイフね、実は、私の家の机の引き出しにしまってあるの。拾った時はどうしようって、困ったんだけど、でも今じゃあなぜか大切な宝物なんです。秘密ですよ、二人だけの」
川田章吾
「おまえらの武器はなんや?」
「このゲーム降りる方法教えたるわ、二人して自殺することや。今ここで。できひんやったら、もう誰も信じんな、とっとと逃げや」
「俺はな、医者の息子のなんや。信じひんのは勝手やけど」
「当然やろ、俺はコックの息子やで」
「俺はこのクソゲームの生き残りや。俺は必死で守った、けど、二人生き残るためやったら親友にまで銃向けたった」
「人を信じるんいうんは、ほんまに難しいわ。ただ今でも分からんのはあの時慶子が残した笑顔の意味や」
「留年くろうた上に拉致されたんや。ゲームを転がす当て馬としてな。けど、この島で目覚めた時、俺は決意した。絶対死なん、今度こそ慶子の笑顔の本当の意味を見つけたるんや」
「俺な、ほんまにこの島出る方法知ってんで。……それは今、言われへん。その時が来たら教える。それまでこれが俺の約束代わりや。それで自分と、その子、守れ」
「なんも知らんほうがええってこともあるやろ」
「おまえらには無理や。…………俺言うたやろ、誰も信じんなって。けど、二人とも俺を信じすぎた。おまえらの負けや。 ……これがこの島出る方法や。悪いけど生き残るために利用さしてもうたで」
「任しとけ、俺は漁師の息子やぞ。ははは……」
「たった3日かの付き合いやったけど、思い出したくないことが多すぎるわ」
「おまえらに会えて、慶子の笑顔、今ようやく意味が解けた」
「あいつが残した言葉や。ありがとう、最後に……」
「最後に、ええ友達が出来てよかった」
相馬光子
「恵の武器、これ? そんなことないよ。心臓の弱いオヤジなら一発で結構危ないんだよ」
「私の武器、これなの。イマイチかなって思ったんだけど、使ってみると意外といいみたいね。隣のうちで好美と倉元が死んでたの。二人仲良く首くくって。私はあんなのイヤ、私ぜったいあんな風にならないっ!!」
「恵の武器、これよ。でもこっちのほうが欲しかったんだ」
「殺したっていいじゃない、人にはいろいろ事情があるの」
「へえ。二人の王子様に守ってもらってお姫さまじゃん。……死ねよ、ブス」
「死ねばいいの」
「誰も助けちゃくれない、人生なんてそういうもんよね」
「あたしただ奪う側にまわろうと思っただけよ」
杉村弘樹
「悪いけど、俺は二人に会わなきゃならない」
「じゃあ、俺はずっとお前の背中、見守っててやるよ」
「千草、死ぬな。しっかりしろ」
「おまえこそ、世界で一番かっこいい女だ」
「琴弾、琴弾か。……琴弾!!返事してくれ!」
「逃げろ、今の音を聞いて誰かくる。逃げろ」
「かわいいな、やっぱり」
「おまえに会いたかった。本当は、なんとか助けたかったけど。……好きだったんだ、琴弾、ずっと、ずぅっと前から」
三村信史
「杉村。脱出の方法があるかもしれない、手伝ってくれないか?」
「昔、おじさんが国会に投げるはずだった爆弾の発火装置だ。俺はこれから俺たちの戦いを始めようと思う。だが時間がない、一緒にやってくれるな?それともおまえら、俺と殺しあえるか?」
「よし。やつらのシステムが復旧するまで15分。その間にこいつを学校につっこませ、ゲームオーバーだ」
「ちくしょう」
千草貴子
「あたし、ずっと弘樹の前、走り続けんの」
「約束だよ」
「わあ、嬉しい。生き残ってから顔洗って出直して、じゃあ」
「神様。今なんて言ったの?このバカ」
「あのねえ、そのろくでもないち●こより、自分の命心配したほうがいいと思うんですけど」
「あたしを行かせてちょうだい。でないとあたし、あんたが殺したがってると見なして全力で戦う。ピー、これは警告です」
「あたしの顔に傷つけたね」
「そうやって言い訳くさいところが、全身全霊、大っ嫌いなんだよ!」
「相手になってあげる。あたしの全存在をかけて、あんたを否定してあげる!」
「神様。冗談だったらやめてください」
「じゃあ、ちょっとだけこうしてて。すぐ終わるから」
「神さま もう一言だけいいですか?」
「かっこよくなったよ、弘樹」
国信慶時
「今、ちょ~と好きな子、できたかもしんない。……中川典子」
「手紙もらった、学校きなよって書いてあって、一緒に修学旅行いこーって。嘘でもさ、誰かに待っててもらえるっていいもんだよな」
「秋也、中川頼むよな。しっかり守ってくれよな」
新井田和志
「俺はもう人を殺してる!今、むりやり犯すことだってできんだ!!」
「千草が悪いんだよ。俺を怒らせるから!」
山本和彦
「ごめんね、さくら。俺なんにもできなくて」
江藤恵
「こんなんじゃ、人殺せないよね」
「使ったことあるの? まさかね、ごめんね」
小川さくら
「ううん、一緒に来てくれただけで……」
「ひとつだけわかる、私、絶対このゲームに参加しない」
「助からないよ、逝こう。…………せぇの」
内海幸枝
「でもダメだよ。七原まだ動けないでしょ。今はしっかり休んで」
「うん。ははは、男の身体、初めて触っちゃった、あははは」
「七原のことなら何でもわかる。ねえ、この意味わかる?」
「何言ってんの。最後まであきらめちゃだめだよ、ね!」
「誰でもない!聡美も銃おろしなさい!!」
「ばか、助かるかもしれないのに。みんな、ばか、ばか!」
琴弾加代子
「なんで、杉村くん? なんで?!」
「一度も口きいたことなんか無かったじゃない。喋ったこともなくて、わかんないよ。私、一体どうすればいいの?!」
榊祐子
「わたしのせいじゃないもん。わたしのせいじゃないもん、わたしのせいじゃないもん!!」
「ごめんね、七原くん。わたし、みんなのこと好きなこと、忘れてた」
清水比呂乃
「あたしはね、恵が首切られてるの、見たんだ。鎌でやられてたみたいだったな!」
「泣け。泣きわめいて恵や好美に謝れ!」
野田聡美
「せめて明日までは生き延びられると思ってたのに」
キタノ
「いいか。この国は、国信みたいなやつのおかげですっかりダメになってしまいました。だから、えらい人たちは相談して、この法律を作りました。バトルロワイアル! そこで今日はみなさんに、ちょっと殺し合いをしてもらいます。最後の一人になるまでです、反則はありません」
「藤吉、私語してんじゃねえ!」
「ごめんな。俺が殺しちゃ反則だよな」
「おまえらのせいだよ。おまえら大人なめてんだろ。なめんのはいいよ、だけどな、これだけは覚えとけ。人生はゲームです、みんなは必死になって戦って、生き残る価値のある大人になりましょう!」
「みんな、友達が死んでつらいかもしれないけど、元気出さなきゃだめだぞーじゃあまたな!」
「風邪ひくなよ」
「おまえ、首輪のばらし方知ってたろ。……委員会にハッキングしてデータ盗んだやつがいたが、三村じゃなくておまえだったんだ。慶子ちゃんの敵討ちか?……いいんだよ、そのためにゲームに乗ったんだろ。でもダメだあ、ズルしちゃ」
「どうだ、楽しかったろ。好きなやつと二人で生き残って。俺もうやんなっちゃった、学校じゃあみんなにからかわれて、家じゃあ娘に嫌われて、もうどこにも帰りたくねえ。いっそのことおまえらとな無理心中しようと思ってな」
「無理心中となりゃあ、中川。相手はやっぱりおまえだよなあ。一人選べと言われたら、中川、相手はやっぱりおまえだよなあ」
「どうした、撃てよ。……中川、がんばれ、中川、がんばれ」
「どうした、撃たなきゃ撃っちゃうよ」
「もしもし、栞か。あのなあ、俺もう家帰んねえから。いいか、人のこと嫌いになるってのはそれなりの覚悟しろってことだからな。無責任?知らねえよ、ばかやろう」
「最後の1枚。クッキーうまかったなあ」
「授業で教室入って行くだろう。おまえらみんな同じジャガイモに見えんだよ。昔は殴ってるうちに、だんだん違いが分かってきて、可愛くなったんだ。それは今はダメだ。生徒に手を出すと即クビになる。生徒に刺されても怒っちゃいけないなんてバカな話あるか」
「なあ、中川。こういう時、大人は子供になって言ったらいいんだ?」
ビデオのお姉さん
「せっかくだから、みんな、ベストを尽くして戦って絶対にそんなことにならないようにね!」
七原の父
「まあ、何でも注文しろよ。明日からはおまえも中学生だしさ、がんばれよ。がんばれったって、何がんばんのか、俺なんも教えてやれないけど……」


