日本統一11
氷室蓮司
「言わなきゃ分かんねぇのかよ。義仁会はつぶす。高松はてめえらの好きにさせねぇ、っていうことです。」
「ええ、ハイエナ同士噛み合わせてやるんですよ。どうせあいつらお互いを全く信用してない連中ですから。高松の仕切りで必ず揉めます。揉めなきゃ揉めさせます。ちょっとつつけばすぐ荒れて、勝手につぶしあうでしょう。」
田村悠人
「あの中で生き残ったヤツを引き入れるかもしんねえだぞ、ろくなのいねぇじゃねぇかよ」
中島勇気
「まあ、でもええやないですか。ケツかいてちっとも心痛みませんし」
吉門康平
「わし一人の首で収めてくれ。……侠和会を敵にまわしたら、伊勢脇は終いじゃ」
「わしゃあまだ死ねません。四国会を立て直す仕事が残っちゅうがです。」
「本気で言いゆうがですか。どうにもならん事くらい分かっちゅうでしょう。今ならまだ間に合いますき」
「殺してくれ。……わしはあんたらに二度もチャカ向けたんじゃ、死んで詫びるき。」
「なんじゃあ、これからやることにアンタとの盃が邪魔なんじゃ。すぐ破門状回してください」
麻岡光利
「ケンカは数やない、根性じゃい」
「今更わしに頭下げちゅうのかい」
「わしら極道モンはな、後へ引いたらそれで終いなんじゃい」
「親不孝もの……親より先に死ぬ子がどこにおるがや」
秋本照政
「上手く行くとか行かねぇとかそんな事考えちゃだめだ。組の為に命を張るその覚悟ありゃ結果は後から付いてくる。まあ、運が悪けりゃ死ぬけどな」
高坂玄
「一部のモンだけが、ええ目見とったらのちのち必ずケンカの火種になるんじゃ」
「あんたもこうして裏でカバチうっとたら、そのうち自分がマトかけられるようになるんで」
日本統一12
氷室蓮司
「この世界で生きていけるかどうか……それはおまえ次第だ」
川谷雄一
「このまま中途半端にやらしとくんやったら、いっそのこと……一人前の極道にしたろう思うてな」
「わしの倅やいうても、親の背中を見て育ってきたわけやないんや。せやから、己で追いかけていく背中を己で見つけなあかんのや。それが見つけられるかどうかで、進むべき男の道が決まる。このままダメ男で終わるかどうか……ふっ、まあ本人次第ちゅうこっちゃあ。」
「いちいちそないな事気にしとったら、全国制覇なんかできへんど」
平川進
「あんたらは、命の恩人だ。礼を言う」
「わしは東北神農の庭に博徒はいれん。いつだってこの土地を守る。それだけだ」
「この街で俺を狙うやつなんていねぇよ」
「ふっ……よーし、わかった。必ず落とし前つけてやるからな」
財前直也
「ここらのテキヤは、チャカ買う金もあらへんのか」
日本統一13
氷室蓮司
「そんなんじゃねぇよ。何があってもやり遂げなきゃなんねぇことがあんだからよ。そん時の状況をどう活用するかを考えるしかねぇじゃねぇか」
「運じゃ、あいつには敵わないか」
「うちに入らなくても、いずれ色んな組が入り込んでくる」
菅谷謙太
「丈治。いいか、おまえはもう山崎の一員なんだよ。おまえにここまでやったってことはな、うちに喧嘩売ったってことなんだよ!!」
「ヤクザちゅうのはなぁ、舐められたらしめぇなんだよ! いつまでも甘ったれた事ぬかしてんじゃねぇ」
「いいか、ここで返しやらねぇとこいつらおめぇに返しすんぞ。おめぇの事なめてんだからな。今ここで徹底的に恐怖心与えておかねぇと、おめぇは一生こいつらになめられる事になんだぞ。それでもいいのか…あぁ? それでもいいのかぁ!!」
馬場
「うちの味方になるか、敵になるかは皆さんそれぞれの判断です」
若宮猛
「まあ、いつかはあたる日が来るかもしれません。ですが、それは今じゃないんですよ」
日本統一14
氷室蓮司
「この東北を守っていくために、あんたの力が欲しい。進友会の力だけじゃそんなことはできねぇ。うちとしても、あんたの力が欲しいんだ」
「そいつはさ…昔から妙な強運持ってる奴で、俺には無いモノを持ってるんだ」
「俺も、極山会に植木って兄弟がいる。一緒に東北を盛り上げていこうぜ」
田村悠人
「蓮司…おまえやっぱすげぇな!」
「いや、おまえがそういうもん持ってるから、俺らはついてくだけなんだよ」
工藤雅信
「売られた喧嘩や。高こう買うたれ」
財前直也
「ちゃいますよ。親子盃交わして、あんたがわしの子になるんや」
平川進
「神農として、博徒と手を組むことはできん」
「命の恩人の名前、忘れるわけねえよ」
「神農の意地だ。博徒と盃は交わさん」
神農会の人
「平川を助けてやってほしいんです。あいつはとんぱちだが悪い男じゃない。一本筋の通った、いい男だ。あいつがこの会を、引っ張ってきてくれたようなもんです。本当は平気で人のタマとるような男じゃないんです。」
日本統一15
氷室蓮司
「俺たちは世間のゴミだなんだと言われちゃいるが、俺は必要悪だと思ってる。俺たちが不良外国人や若え連中を教育していかなくちゃいかねえ。そのためには、小せえ組同士や地域同士で揉めてる場合じゃねえんだよ。日本極道界を統一して、一丸となっていかねえといけねえんだ」
「ああ、分かってる。俺たちは力のある奴に従うっていう、シンプルなルールで生きてる。だったら、俺たちが一番強くなればいいだけのことじゃねえのか?」
「そのためにも、おまえの力が必要なんだよ。おまえも自分は身体を使うしか能がねえとか思ってるかもしれねえけど、立派にうちの組を引っ張ってくれてる」
「そうだ。そんなもんだ。俺たちの世界は、だから悔いが残らないように、一生懸命今を生きるんだ。それと、いつ生死の選択を問われてもいいように、緊張感をもって腹をくくっておくんだ。分かったな?」
田村悠人
「でもよお、蓮司。それ綺麗ごとだよ。俺たちヤクザはよ。世間で生きられねえからヤクザやってんだよ。ルールを守れねえ我の強え集まりなんだよ。だから、ケンカや抗争が絶えねえんじゃねえか」
「いやあ、戯言なんかじゃねえよ。やっぱりおまえは俺らの上を行く人間だ。頭のいいおまえが言ってるんだから間違いねえよ、きっと。」
馬場伊佐雄
「コンプライアンスも知らんのかい、兄弟」
福本貞夫
「確かに、ここらで花火ぶちまけてやるのも面白いかもしれんな」
「このカバチタレが。あんなんでも利用価値ある思うて、今まで付き合うてきたんじゃろ」
坂下惟秀
「ケンカは数やない! 心意気や!」
「正面からダンプでバーン!とつっこんでな、裏口からスルっと案外楽勝やで」
日本統一16
氷室蓮司
氷室「悠人。これは絶対にしくじれねえし、おまえと俺以外、誰にも知られちゃならねえ」
「俺は侠和会のトップになるつもりだ。そのうえで、兄弟が丸神のトップにたっているなら、その時は正々堂々やろう」
「矛盾してるかもしれねえが、兄弟。その時がくるまで、共に助け合って、上を目指していこうじゃねえか」
田村悠人
「会長が撃たれたあと、汚名返上するいいチャンスだ。気ぃ引き締めてかかれよ!」
川谷雄一
「親のいう事に従うのが子の務めちゅうもんやないのかい」
坂口丈治
「なんやわかりまへんけど、秋本の叔父貴。噂以上にすごかったですわ」
「そんなお人と兄弟分になってる親父も、改めて尊敬しました」
若宮猛
「俺は沖田の叔父貴からこの場を任せると言われてきたんだ。おめえがこのまま出て行ったら、俺の顔だけでなく、てめえの親の顔にも泥を塗ることになるんだぞ」
日本統一17
氷室蓮司
「西日本睦会と事を構えることになった」
「てめえみてえに相手の顔色見て、旗色が悪くなったら、すぐ寝返るような野郎は信用できねえんだよ!」
「俺はな、日本を侠和会一色に染めてえんだ。そうしたら無益なケンカは無くなる。そう信じてる」
田村悠人
「俺たちが一番強くなれば、仲間や家族を守れることに繋がる。俺たちはもっと強くなんなきゃならねえ。それに、直参に上がった初仕事だしよ」
「俺にとっての親分はおまえただ一人。だから、いつかおまえが侠和会のトップになったら、その時には俺がおまえの一番の子分になる」
川谷雄一
「うちの会長の命(タマ)狙ろうたことを、己の体で後悔さしたるわ。葬式の準備でもして待っとけや」
「広島との戦いは、厳しいものになるやろ。どっちかがつぶれるまで、とことんいくで」
「上に立つ人間は、清濁併せ呑む度量がないとあかんのちゃうか?」
「まあ、それもこれも侠和の代紋背負ってる男の宿命やと思って諦めろや。わしの後任せられるのは、おまえしかいないんやからな」
馬場伊佐雄
「カシラ。三谷の兄弟の仇討つ機会をずっと待っとりましたわい!」
大井忠雄
「名古屋を一本にまとめたいのは、香取組長も私も一緒です。同じ親分のもと、兄弟となって、名古屋を守っていく。それが一番いい流れやないですか」
福本貞夫
「がたがたしない! こうなったら戦争じゃい、肚くくるんじゃ!」
原木秀一
「いっそのこと、警官隊ごとダンプでつっこませますか?」
秋本照政
「それは違う。今はな、力を蓄える時なんだ。何度も言うが、氷室との盃には嘘偽りはねえ、本当の敵は内側にいるんだ」
日本統一18
氷室蓮司
「若宮、頭上げてくれ。俺は今まで秋本の兄弟やおまえにずっと無理な頼みごとをしてきた、今度は俺がその恩に報いる時だ」
「ヤクザが休みをうったらしまいだってことくらい、俺だって分かってるよ」
「力をつけすぎた若頭を組長が恐れて、組の中がめちゃくちゃになっちまったってのを俺はたくさん見てきたんだ」
田村悠人
「俺は、侠和会を頼ってきたものを助けてやるのが、任侠の道だと思います」
川谷雄一
「わしら、極道は死ぬ時は死ぬやろ、そやろ? せやけどわしはまだまだ死ねん」
「そないなつまらなんことでグダグダ心配してるヒマあったら、他所のシマを一つでも多くかっさらってこんかい! わしらの目標なんや? 日本統一やで」
工藤雅信
「ええか、今内輪揉めしてる時やない。工藤派も山崎派もあったらあかん。カシラとおまえ(渡部)が仲良うしとったら、みんなが見習う。肝に銘じとけよ」
福本貞夫
「ああ、そうじゃ。わしゃあ、工藤のタマ獲るまでは、絶対やめんき!」
「うちらは、地元自分らの力で守っていこうと、上も下も作らんとみんなで持ちつ持たれつでやっていこうと、そう考えとります」
三田太源
「元は、敵だ仇だとやりあった者同士だ。連合と言えば聞こえはいいが、俺から言わせりゃ上も下も盃のねえ寄せ集めだ」
「伊達や酔狂で言ってんじゃねえぞ、おめえさんに俺と一緒に死んでくれる覚悟があるか?」
沖田学
「理事長…俺を舐めねえでいただけますか! 秋本の兄弟や若宮とは丸神を日本一の組織にすると身体張ってここまできてんですよ。俺が必要ねえなら、この場でぶっ殺してくれてかまわねえ」
「こうやっていがみ合ってる間も西の奴らは、この関東に乗り込んできようとしてるんだぜ、それを分からねえ兄弟じゃねえだろう!」
若宮猛
「補佐、一つにまとまれば水神会も丸打組もねえでしょうよ。同じ親のもとに揃った家族になるでしょうが」
梨本景信
「だったら、俺たちは子分として言われたことをやるだけだろうが、それをがたがたと」
鶴見憲吾
「いいか、梨本。子分が命賭けて親分を守り、白いもんでも黒と言われれば、それに従うのが親分の盃だよ。それをはいそうですか、で直しちまうような軽いもんじゃねえだろ」
日高建脇
「兄弟が言う通り、ケンカは数やなか。たしかに、わしらがこのケンカに勝てるやろ。しかしな、それでわしらに何が残る」
日本統一19
川谷雄一
「おまえは、おまえのできることをやらんかい」
菅谷謙太
「今になってな、いろいろ分かるんだよ。ああ、こういうことかって。だからな、親父の言うことは頭で分かんなくても、ハイって素直に聞いてりゃいいんだよ、わかるか?」
「俺な、何度もとんでもないヘタばっかりうってきて、本当なら生きてるのが不思議なくらいだ。もう居場所がねえくらい、怒られたこと何度もある。でもな、いつも俺のこと考えてくれてたんだなって、今ならわかるんだ」
坂口丈治
「俺も、めっちゃくちゃ怒られてるんで、なんとなく分かりますよ」
渡部圭太
「侠和会の看板に泥ぬるいうことは、会長の顔に泥ぬるのと一緒や。そんなことが許さてええわけがない」
馬場伊佐雄
「……ごちゃごちゃごちゃごちゃ、じゃかわしいんじゃタコ!! 睦会のモンが福岡入っとるさかい! うちの兵隊、熊本に行ったんやろ、筋が違うんじゃ!筋が!! おお!!」
福本貞夫
「なんじゃと? なんでそれを早う言わんのじゃ。どんな手使ってでもええけ、絶対に撃ち殺せ、ええの!!」
「そこの若頭補佐やってる氷室いうのが、カバチできんのやで。そいつさえ殺してしもうとたら、あとはこっちでなんとかなるじゃけ」
中川至道
「福本の肚の黒いことくらい、みんなもよう分かっとった。じゃがのう、福本じゃったら侠和会と戦えるかもしれんと思いよったんじゃ」
野城邦夫
「じゃがあれはいかん、任侠の道を外しとる。西日本睦会はもうしまいじゃ」
沖田学
「いえ、秋本の兄弟と俺の志はひとつです」
「鶴見は、あれで筋の通ったいい男です。これからの丸神にとって、必要な人間と信じています」
瀧島彪雄
「ならねえ!! おめえは会に残ってな、わしの代わりに三田と沖田を支えてやってもらいてえんだ」
鶴見憲吾
「考えてみりゃあわかるだろ、俺らとあんたらは、この前まで命の取り合いしてた間じゃねえか。一本化なんて本気でできると思ってるのか?」
「俺には親分は一人しかいねえんだよ、そんなこけしの頭付け替えるようによ、簡単に変えられるわけねえだろ」
日本統一20
氷室蓮司
「六代目至誠会には大義がない。うちはあくまでも熊本を推すまでです」
「たいしたもんだ、それでこそ俺の甥っ子だ」
「それは願ってもないことです、至誠会の当代をアニキにもてるなんて幸せなことです」
「九州の戦争も終わったぞ、おまえが身代わりになってくれたからだ。ありがとな。次はいよいよ福本だ、ぜってえおまえの仇は獲るからな。早く元気なれよ、謙太」
「俺の言うことは絶対だ」
「まだだ、まだだろ。おい! 俺は認めねえぞ、おい。てめえ何勝手に寝てんだよ」
「謙太…見てろよ」
田村悠人
「義理だなんだ言ってもよ、俺ら所詮ヤクザだろ。命の獲り合いしてる以上、どうせ畳の上では死ねねえんだ。今日のこと、……謙太よく分かってたんじゃねえのか」
「親のために命張ったんだよ、誉めてやろうぜ」
「今のおまえに時間が必要なのはわかる。でも、謙太は望んでねえぞ」
「謙太の死に顔、幸せそうだったなあ」
「惚れたよお男のために、盾になれたんだ。ヤクザの中のヤクザだろ」
「俺も謙太みてえに死にてえな。おまえもよ、逆の立場だったら、…そう思うだろ?」
「行こう。みんながおまえを待っている」
菅谷謙太
「よかった…力になれて……」
「おじさん……俺さ、すげえ楽しかったよ」
川谷雄一
「親分、決めてください! 今侠和会が日本統一を狙うのか、それとも次の機会を待つのか」
「わしな、会長と一緒に日本統一を成しえたかったんや。……工藤会長、最後まで立派なお人やったで」
「親分、それをしてもうたら侠和会を頼ってきたもんを見捨てることになります、それだけはあきまへん」
工藤雅信
「わしはな、とかげのしっぽ切りみたいな、不細工なマネしてまで、会長の座に座ろうとは思っとらん」
「そうや! そのおまえの力強さが、日本統一する侠和会に必要なんや。わしはそう思うとるんや」
「おお、最後くらいカッコつけさせてくれや」
瀧島彪雄
「憲吾、ここまで追い込んじまったか、悪かったなあ」
「おまえがな、わしを慕ってくれてるように、おまえのことを慕ってくれてる子分や兄弟分のことを忘れちゃいけねえんだよ」
「さあ、もうケンカはおしめえだ。なあ、憲吾」
若宮猛
「あんたがそう思いてえんなら勝手にしろ、けどな、俺は死んでも一本化は諦めねえからな」
「上等だ、撃てるもんなら撃ってみろよ!」
鶴見憲吾
「ふっ……誰がヤクザ辞めるって言ったよ、俺は死ぬまで極道だ」
「いいか、俺が今丸神連合を抜けちまったら、関東は分裂しちまうだろ。だからよ、組はおまえに譲って、俺は好きに暴れてやんのよ」
「ふっ……今更御託はいいんだよ。てめえだけはぶち殺してやる」
「会長、兄貴すまねえ! これしか道無かったんだよ」
黒木元誠
「いや、そんなことありません。わしらが至誠会に戻れるんを…氷室さん! あなたの御恩があったこそ!! 五厘!いや、なんぶでも構わねえから下がった盃を交わしてもらいてえんです、お願いします! この通り!」
隠退襲名盃之儀式(瀧島→三田)
「それでは席替わりをお願いします」
~~~(席変わって)~~~
「席が変われば、二代目が当代です」
親子結縁盃の儀式(三田-)
「その盃は、親分子分の契を結ぶ盃です。お気持ちだけをお飲みになりお下げ願います。どうぞ!」
~~~
「子分となられます方々に申し上げます。その盃は親子の契を結ぶ意義深い盃です。その盃を飲み干すと同時に親分子分の強い絆が結ばれます。それを肝に銘じましてその盃、三口半に飲み干し、懐中深くお納め願います。どうぞ!」
隠退襲名盃之儀式(工藤→川谷)
「頭領たる者、すべからく清濁併せ呑む度量を持って、先代の名を汚すことなく、生涯任侠道に精進しなくてはあいなりません。すでにお覚悟のほども十二分におありのこととは存じますが、その覚悟を今一度ご確認され、肚定まりましたならばその盃、一気に飲み干し懐中深くお納めください、どうぞ!」
~~~
「当事者お二方に申し上げます。席替わりをお願いし申し上げます」
(席変わって)
「席が変われば、三代目が当代でございます」
親子結縁盃の儀式(川谷→多数)
「親分、川谷殿に申し上げます。その盃は、親分子分の契を結ぶ盃でございます。お気持ちだけお飲みになりまして、お下げを願います、どうぞ!」
~~~
「その盃を飲み干されますと同時に、あなた方は川谷雄一殿の子分となられます。すでにお覚悟も十二分におありのことでしょうが、任侠の世界は厳しい掟の世界です。いかなる修行にも耐え抜いて一家のため、親分のために立派な男となる決意が固まりましたら、その盃、三口半に飲み干し、懐中深くお納めください、どうぞ!」