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名言・名セリフ

アニメ【日本三國】声に出して言いたい名言・名セリフ!

日本三國‗名言名セリフ 名言・名セリフ
アニメ『日本三國』の「名言・名セリフ」をまとめています。

     

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    第1話 泰平の誓い

    三角 青輝

    「わしはただ、合理的かどうか、そこに己の判断の基準を置いとるだけです。日本時代末期、結婚式はキリスト教式、葬式は仏教式、ほんで正月には神社に参拝する神道式でした。つまり、日本人と宗教は密接な関係じゃったんです。じゃけど、今の世は違う。宗教的に一切関係のねえ小紀が、ウェディングドレスを着ようとするのを止めるのはしごく当然のこと、それを小紀ときたら『かわいいから着るんじゃ』……はああ~~ってなるでしょうが!」

    「わしはここから見える景色が好きじゃ。山や海、人工地盤、日本時代の工場やビル、舗装されたたくさんの電柱、日本はすんげぇ文明だったんじゃなあ、と」

    「戦において、地形を利用することの重要性を問いとる」

    「わしは、小紀とこのまま普通に暮らせればええ」

    「情けなくなんかねえ。戦に勝つためには、侍たちが強くなければならん。そのためには、何が必要じゃと思う?」

    「それより、もっともっと大事なもんがある、食べもんじゃ!栄養価のある食べもんを多くの侍たちに与えるためには、農業生産力が高くなくてはならねえ。つまり、国を強くするためには、農業じゃ!何度でも言う!おまえらは情けなくなんかねえ!」

    「そんな、こと、しても根本的なことは何にも変わらん。勇気があるのは尊敬するが、少しは己を律することを覚えろ」

    「意外と弁が立つなあ、と思いつつもわしならあと2ターンあれば対話でなんとかできとった」

    「無事でよかった、ほんまに」

    「いや、農業に熱い思いはねえ。わしはただ小紀との生活を安定させるために、何をすべきかを考えて、手堅い司農官になるべきだと思っただけじゃ」

    「読むたびに新しい気づきがあるんじゃ。でも知識があるだけで、わしに実戦の経験はない」

    「絶対、違う」

    「殺す。まず税吏の刀を奪い喉元を掻っ切る、殺す。次に平殿器のきったねえ腹を刺し、殺す。わしは殺されるけど、もうええわ。小紀だってあんなデブ殺すしかねえって、言うてたし。え?ちょっ……一旦落ち着いて、そんなことしても国賊の汚名を着せられて処刑されるだけ。ほんでまた、平家の誰かが執権し権勢を振るうだけ。怒りに任せ、復讐を果たせたとしても小紀を生き返らせることはできん。今、わしがすべきことは一つ。小紀の首を受け取ること」

    「ほんじゃあ、いってこい。小紀」

    「世を変えるために」

     

    東町 小紀

    「うちは、ウェディングドレスがかわいいから着るんじゃ!」

    「たとえば、戦?とか」

    「そう、あんたの知識を活かせば、辺境を平定し、三国時代を終わらすことができるかもしれん!日本再統一も夢じゃないで!」

    「首都大阪にある、そのお方の家には士官を望むもんが、毎日1000人あまりくるっていう噂じゃ。そんお方のもとでなら、あんたの智謀を存分に生かすことができると、うちは思う!」

    「青輝、あのデブを肯定する言うんか」

    「あんなデブ、殺すしかねえ」

    「青輝、あんたは勇気を持つことを覚えろ」

    「いや、自重できん」

    「恐れながら申し上げますと、原則として税は軍ごとに管理され、月末に一定量納める決まりでは?」

    「家の力が無ければ、何にもできんクズめ」

    「性別や出身地、肌の色やルックスしかり、そんなもんで他人にマウントをとる人間をうちは軽蔑する。己の価値は、己の手で作り出してくもんじゃ」

    「あんたらも、ただやられるだけでええんか!」

    「でもうちは武で奴らをなんとかした」

    「うちは青輝が何をすべきかよりも、何をしたいかが知りたい」

    「実戦のために役立てんと、何のための知識じゃ。今のあんたに、足りとらんのはたった一つ、勇気じゃ。青輝に勇気さえあれば、日本を統一してこの三国時代を終わらし、太平の世を築くことができる……うちはほんきでそう思っとるけん」

     

    平殿器

    「己の嫁の仇を目の前にして、憤激の情を一切見せひん、不思議な若者じゃ。私と会話してるはずなのに、彼の目は遠に先をみとりおった」

     

    ナレーション

    「令和末期、第四次産業革命において、日本は米国や中国、インドなどの諸外国に圧倒的大敗を期した。そして、加速する少子高齢化、教育レベルの大幅な低下により、日本は衰退の一途を辿った。世界では核大戦が勃発。日本は戦地にこそならなかったものの、多くの難民が押し寄せ、感染症が蔓延、さらには大震災が相次いだ。一方、富は一部の政治家や資本家などの上級国民と揶揄される者たちに集中。悪政、重税、天災、飢饉に苦しむ民衆はついに蜂起する。暴力大革命である。国家形態は崩壊、人口はわずか数年で1/10以下まで減少し、あらゆる文化やインフラ、テクノロジーが失われた。文明は明治初期レベルまで後退、軍閥が割拠する戦乱の世が始まる。そして、90年後、大和、武凰、聖夷、3つの国が覇権を争う三国時代に突入することとなる」

     

    第2話 登龍門

    三角青輝

    「着いたで、小紀。司農官を退職し、家を売り金と最低限の荷物だけで上阪した。あの高層ビルも、一本の杭を設ける頃から始めたように、わしもまたこの一歩から始めようと思う」

    「いや~バリ立派じゃのう。これは昭和に建てられた二代目通天閣で、初代はパリの凱旋門にエッフェル塔がのっとるデザインだったんよなあ。あ~あっこ登って、地図書きたいのう」

    「すごくないとは言ってないです。その情報量だけじゃ、ツネちゃんさんがどうすごいかが、わしには分からんと言ってるだけです」

    「さっきからその同調圧力なんなんですか。……その理屈通りであれば、大和の官吏でダントツで一番多い姓の平が、常に正しいことになりますが、その認識でよろしいか?」

    「ああ、すげえです。じゃけど……」

    「ツネちゃんさん、あんたはすげえ、めちゃめちゃすげえ。じゃけど、リスペクトの上で一つ進言するなら、さっきのも含めて、色々と憶測が……」

    「登龍門が叶ったら、ツネちゃんさんとわしは同期です。あんたみたいなすげえ同期に、そのいい加減な憶測が理由で死なれたら困ります。なので、進言させてください」

    「まず、始めっから色々憶測で話しすぎです。わしがこのホテルに来た時『ほら、彼怖がってるでしょ?』と仰ってましたが、断定なさるのでしたら人の表情を確認してから、仰るのが得策かと。次に『日本時代の知識階級の人たちは、異国語を混ぜて話して尊敬されてた』と仰っとりましたが、わしが読んだ資料にはなんか難しい横文字使う人いやだ、伝わらないから日本語で喋ってほしい、という意見もございました」

    「すなわち、ツネちゃんさんが己に都合の良い意見のみを聞く御方であれば、全ての民に尊敬されるどころか、恐れられたり、侮蔑の対象となる可能性がございます。そして最後に『人に媚び売らへんことがイケてるみたいに思うとるやろうけど』と仰っていましたが皆目見当違いも甚だしい。わしの目的は、平内務卿に処刑された最愛の妻との誓いを果たすことであります。媚び売らんことがイケてる、そんなしょうもねえ着飾った意識でここに来とりません。媚びなど売る必要性があるなら、いくらでも売ったります。じゃけど、このクソみたいな同調圧力には殴られようが斬られようが殺されようが、絶対に屈しません!わしは、本気でこの世を変えるために、ここに来たんです」

    「多くの人が本懐をとげるために、こんだけの時間並んだという歴史があります。わしも目的を果たすためなら、並ぶ時間なら毛頭気になりません」

    「龍門辺境将軍のもとで、わしの知識を活かし、太平の世を築くために……登龍門必ず成し遂げる」

    「(この3ヵ月、辺境将軍卿に関する資料を読み漁った。この試験に関する記述もあったが、内容は毎度異なり、予測や対策は不可能。唯一の共通点は徹底した能力主義による人事評価であることのみ)」

     

    阿佐馬芳経

    「三角くん、もしかして田舎者?そっかあ、田舎者は私のこと知らないか~」

    「阿佐馬家。大和を建国から支えてきた名門だよ。私はその名門阿佐馬家、宗家の嫡子だ。どう?すごいでしょ?」

    「三角くん、ごっつええやん」

    「せやせや、なんでかと言うとな。彼らが使われへん言語を使うたら、私がより頭が良う映んのやあ。ママ曰く、日本時代の知識階級の人たちは庶民が分からへん異国語を混ぜて、話して尊敬されてたみたいやしなあ。私は君みたいな人と出会いたくて、こんなごっつ安いホテルに泊まってたんや。君は彼らと違うて、少なくとも思考する能力はある。やけど、一つ助言するなら君は人に媚び売らへんことがイケてるみたいに思うとるんやろうけど、私が彼らを制しせんかったら、君のこの顔や体は、どうなってたんやろなあ?」

    「ええか、私には夢がある。私の力で日本を再統一し、三國時代を終わらす。ほんで、この国の全ての民に尊敬される存在になる」

    「私と親しくしたほうがええで?」

    「邪魔するんやったら、帰ってや」

    「三角くん、どう?すごいやろ?(さあ、認めろ、私の凄さを、満たせ、私の承認欲求を)」

    「進言?君が私に?調子にのったらあかんで」

    「ほんま、三角くんの言う通りやわ。目覚まさせてくれて、ほんまありがとうなあ(なめんな、私だってそん位できる)」

    「(昨日の夜、賊に殺された人を身元が割れたとしても、この国では遺族に死は通告されないという理由で、自ら埋葬したり。私の刀術の凄さをもうええわ、と思うほど夜遅くまで熱弁してきたり。徹底して理性的な性格かと思いきや、ロマンチスト的な傾向もあるし…………はあ?なんで、私、彼のこと分析してんねん。まさか私、彼に興味持ち始めてる?ちゃうちゃうちゃうちゃうちゃうねん!そんなわけあるかいな、私は阿佐馬家の宗家の嫡子やで、こんなイモくさい田舎モンの七三地味男に興味持つわけ……)

    「龍門辺境将軍のもとで、己の才能で天下を統一し、全ての民から尊敬されるために……登龍門必ず成し遂げる」

    「(滑稽、滑稽、君らは所詮道化役。三角くん、ちゃんと見とけよ、私の凄さを。ほんで悟れ、己の無力さを)」

    「その脚、もらいますわ」

     

    龍門光英

    「総大将は討ち取った。ほんで、軍隊長2名、軍師1名も死んだ。大和に下れば、君ら一人一人に私有地を与えることを約束する。寝返った内の兵たちも不問にふす、どや?」

    「妥協はできん。この国の未来のために」

    「礼儀、行儀、年齢、性別、家柄、学歴、経験、協調性、志望意欲、犯罪歴の有無、そんなもんはどうでもええ。求める人材の条件は一つ。私の膝を地面に着地させることができるもん!以上。制限時間は10分、ほな開始」

     

    賀来泰明

    「まず、目下の採用試験は一般兵を募るものではなく、大和帝直轄部隊である辺境将軍隊、専属の属員を募るための試験です。そして念のためお伝えしておきますが、現在は通常の事務作業、出征中にたまった業務をしている最中です。……なんかチェックしてるように見えてはると思いますが、そんなんちゃいますので!みなさん気にせんでええですよ」

    「(さてさて、今回もこんなもんかな。限られた短い時間で思考して行動すべきとこを、ただただ前ならえで挑む子ばっかり。帰還直後で平然と対応してはる龍門さんも異常やけど……)

     

    ナレーション

    「大和軍総大将の奇襲が成功したことで、長篠の戦いはあっけなく終結した。彼が龍門光英である」

    「大和の首都、大阪にある辺境将軍龍門光英の自宅には、仕官を望む者が日々1,000人あまり、集まると噂されている。人はいつしか、その採用試験に合格することを登龍門と呼ぶようになった」

     

    第3話 朝議

    三角青輝

    「戦で負けないために、農政の改定を提案いたします」

    「農政改定の目的は、辺境での農業生産力の向上、そして常備兵の増強です。みなさまご存知の通り、大和の総兵数36万のうち、辺境の常備兵は愛知、福井、滋賀の3県合わせても総兵数の1/5にも満たない定数です。それはなぜか辺境では常備兵を増強できるほどの農業生産力がないからです。常備兵が少ないとなると戦の際に多くの兵が地方から出征しなくてはならない。これでは莫大な費用を要し、多大な労力が費やされてしまいます。そこで!辺境の荒廃した農地を兵士に開墾させて、生産力の向上を図ります。辺境さんぶんには質が良く、農耕に向いた土地があります。ですので、大阪都周辺の田畑を廃止し、用水を辺境に輸送します。まずは5萬の兵士を3群にわけて配置し、耕作させます。1/5を交替で休ませ4萬人が常に耕作にあたり、同時に守備に就かせます。計算しますと、水が豊富にあれば現在の5倍の収穫が期待できます。災害や諸費用を差し引いても、毎年150万トンの穀物を軍に提供することができ、3年が経つと450万トンを辺境に蓄積することができます。これは10万の軍勢の5年分の食料になります。これを元として、戦に臨めばまず敗戦には至らないでしょう」

    「わしには、龍門辺境将軍のヒザを着地させることはできません」

    「わしには、ツネちゃんさんのような戦闘技術はありません。どう考えても、この試験に合格することはできんのです。……この農政改定案は、わしが登龍門が叶った時に、お渡しいたそうと思い持参しました。しかし、それが叶わないと思いましたので、今お渡しした次第です」

     

    阿佐馬芳経

    「すごいの、言い間違いちゃいますの?」

    「(滑稽、ああ滑稽、誰かが批難すれば、自分も批難し、誰かが褒めれば手のひらを返して、自分も褒める。ほんま軽蔑するわ、そのまま一生私の背中を追いかけ続けたらええ、どうや三角くん。本気でこの世を変えるやと?この世を変えるのは、私や)

     

    龍門光英

    「私の足を切って、地面に着地させようと思うてたんやろ。そういうぶっ飛んだ発想、嫌いやないで。が。甘い」

    「見事や、ほんまに見事や。が、でどないして私の膝を着地させるのや?」

    「私は君の名を知らん。このままでは君の功績は、無になるがええのか?」

    「合格。で、名は?」

    「(帝の目前に座った上に、ついに朝議の場で帝を辱めるとは、内務卿平殿器よ。その先に登るつもりちゃうやろな)」

    「このような状況下において、有能な独裁者が誕生し変革をもたらす、これは歴史を広く見てもおおいにあり得ます。独裁者が現状に不満を持つ民衆を煽り、大和へ侵攻してくる可能性はゼロではありません。今すぐにでも聖夷とは休戦協定を締結し、断続的な外交、貿易を行うのが得策かと」

    「戦は国家の重大事です。国民の生死、国家の存亡がかかっております。ゆえに、辺境将軍として慎重に」

    「どうか、ご再考を」

     

    賀来泰明

    「帝の皇后は、デブの実の娘。大和の主要な役職は地方の隅々まで平家が牛耳ってます。先帝毒殺事件から22年、時はすでに満ちていると言えるでしょう」

    「あのデブにとって、龍門さんと辺境将軍隊は平家に組しない役人の中でも、1番目障りな存在です。例の彼が提案した屯田政策が、目覚ましい成果をあげていることも当然快く思ってないはず」

    「あのデブに対抗できるんは、龍門さんだけ。私たちが全力で支えなければ」

     

    平殿器

    「偉大なる大和帝陛下。龍門が行った政策がどうすごいか分かってへんの、ちゃいまっか?」

    「聖夷には、もうすでに無条件降伏の勧告状を送ってねん」

    「ええか、臆病者の龍門よ。我が国はいまだかつて戦に敗れたことがない。たかが聖夷相手、休戦なぞ生ぬるいわ。やつらは白旗を上げる、必ずや」

    「一生、土下座しとけ」

    「死罪、死罪、5秒以内」

    「偉大なる大和帝陛下。宮中に武装した将兵の入城を許し、血が流れたことを深くお詫びいたします。彼らの罪状は、私をイヤな気持ちにさせたことです。ただちに、代わりの者をせいきょうしますので、どうかお許しを」

     

    ナレーション

    「敵も味方も、大義も裏切りも全てを飲み込み辿りつく世は、太平か動乱か。三角青輝、のちに奇才軍師の伝説が、今始まる」

    「大和暦59年冬、大阪都。青輝が登龍門を成し遂げてから、もうすぐ3年になろうかという頃……」

     

    第4話 聖夷政変

    三角青輝

    「事情より結果を重んじ、公正な処罰を下すのが監事の責務です」

    「自重いたしかねます」

    「たしかに、これまでの執行履歴を総覧すると、ここ数年いかなる大罪を犯したものも、死刑その他厳罰には科されておりませんでした。しかし、辺境将軍隊における軍法はそもそもたいそう大和帝藤1世が定めた厳格なもの。それがなぜ、こうも感化されることになったのか、わしは徹底的に調査しました。すると、1つの事実が明らかになりました。賄賂の横行であります。前任の監事の怠慢さゆえ、軍法の権威の失墜を招いたのであります。よって、わしは新幹事として、ここに堅持いたします。厳格なる軍法の権威を」

    「ほんなら、軍法を軽視し国の破滅への一端を担えと?」

    「ツネちゃんさん、それは属員側の意見に過ぎません。民側からすれば、略奪にあい身内も殺されたのに、なんであの属員は適切な刑を受けておらんのか、と。隊に不審な念を抱くでしょう。そんな民が10人、100人と集えば大規模な反乱だって起こりえます。その時、ツネちゃんさんは民と戦う覚悟はありますか?」

    「無論、もしもわしが軍法を歪曲したのならば、わしは処罰を受けるべきでしょう。じゃけど、事実無根の批判をされても、それはわしには関係ない。監事がおもねり、辺境将軍隊が腐ればこの国も終わりでしょう。で、あれば、わしが人から疎まれようと、蔑まれようと、憎まれようと、勇気をもって監事の責務を全うせないかんと、わしはそう思うのです」

    「わしが知る限りでは、わしよりも、もっと、もっと似合う人がおりますよ」

    「歴史はどれも例外ばかりでできています。かつて日本時代に核戦争が起き、地球全土が寒冷化するなんて、一体どれほどの人が予測できたでしょう。令和末期の暴力大革命にしてもそうです。三國鼎立にしてもそう、当時を生きたどれほどの人が今のこの世を予測できたでしょうか。人が歩む道とはかくも水の如きものです。妻とも誓い、この誓いは、氷のように固形化し、先の人生は常に液体のよう。いや、未来は分からないという点では、液体よりも気体のほうが適切か?」

     

    阿佐馬芳経

    「相も変わらず青いなあ、青すぎるで。君は」

    「私らはもう3年の仲や。君が名声を渇望していへんことくらい分かっとる、やけど多くの属員は違う。責務を全うするんは立派や。けど、なんでもかんでも厳罰に処せばええってもんやないで」

    「私はただ、過去の功績に免じて減刑してもよかったんちゃうかって、言うてるだけや」

    「その言葉、この世で君がもっとも似合う人なんやないんか」

    「(水か、実に君らしいなあ。やけど、私からすれば、人生は石集めの如きもんや。そうでしょう?ママ)

     

    輪島桜虎

    「では、これよりクーデターを決行する」

    「いえ……父の形見です。この刀で自ら腹を斬り、あなたの義兄弟で国に忠義を尽くした父に、あの世でお詫びください。国を、売るつもりであったと」

    「弥々吉。彼を手厚く弔い、誅殺した降伏反対派の親族には援助を施してほしい。断られてもだ」

    「だが民も突然の政変とこの寒さでは、心穏やかではないだろう。政府が隠匿していた米で、温かい粥を作り、民を労ってほしい。聖籠の米は、もちもちで甘くてうまい。きっと民も喜んでくれるだろう」

    「私たちに退路はない。民と国のため、突き進むのみだ」

    「近年、冷害により多くの農業従事者が失業しました。結果、人身売買が横行、餓死者さえ出ました。皆さまの中にも、その被害に遭われた方がたくさんいらっしゃるでしょう。しかし、私は言いたい、冷害対策を怠り、ただ私腹を肥やし続けた旧政権にこそ、責任があるのだと。新政権ではただちに、国家農業統一政策を施行し、農地の整備と生産から流通に至る合理化を行います。そして3年間1区あたり月100円の補助金を支弁します

    「苦しい生活が永遠に続くとは思ってはなりません。全ては私たち、国民一人一人の強い意志と行動によって、変えることができるのです!」

    「そして、思い出してください。私たちの真の敵が誰であるかを。旧聖夷政府でしょうか、否、東国の武凰でしょうか、否、西国の大和はどうでしょう?そもそも、聖夷の歴史は、大和の北陸侵攻に抵抗し始まりました。しかし、大和はその反省をするどころか、売国奴と共謀し、再び我が国の存立さえ脅かそうとしたではありませんか

    「大和は建国以来、かつての日本国の後継を自称し、日本列島を我が物にしようと目論んでいる。つまり、大和の国家としての正当性を許せば、いずれまた聖夷の地が汚されることになるのです。ならば、後世のため、今こそ大和討伐を行い、我らの宿願を果たそうではありませんか!」

    「私は総帥としてここに誓います。私たち新政権は、金や土地、権力のために進むのではない。あなたたちのために、進むことを」

     

    閉伊弥々吉

    「やはり、よく似ていらっしゃる」

    「いえ、輪島総帥。民心を得られれば、大和を平定するのも難しくないでしょう」

    「確かに兵糧確保も重要だが、飢えに苦しむ民が食料の配給なしで、総帥の話をじっと聞いてくれるだろうか。民、信無くば立たず。政治は民の信頼無くしては、成り立たない。市政では軍備、食糧、民の信頼の3つのうち、孔子は民の信頼が最も重要だと説いた。輪島総帥は必ず民を導く正しい為政者になるであろう」

    「いいや、昔から虎ちゃん。……あれが、輪島総帥の気質なのであろう」

     

    長尾武兎惇

    「尊い……」

    「俺は不思議なんす。粥を配るとしても、将兵に任せればいいはずっす。でも何で総帥は自ら?……まさか、それすら計算して」

     

    九羅亜輝威

    「俺たち九羅隊の襲撃目標は、聖籠都城邸宅。合言葉は、尊夷討奸!俺たちに不可能はねえ。必ずや奸賊を討ち取り、皆でうまい酒を酌み交わそうぜ!!」

    「それでは、奸賊さん。お命、頂戴しまっせ」

     

    芥生葉瑠壱

    「白虎よ!君の娘は、父親譲りの軍略家だ!あっぱれ、あっぱれだ!!」

    「情けは無用。斬首で結構。君たちとは方針は違えど、私もこの国や民を思った上での判断だ。私が売国奴かどうかは、後世の歴史書に託すとしよう、聖夷の民を頼んだぞ」

     

    ナレーション

    「聖夷。三國の北部を領土とする共和制国家である。この日、首都聖籠にて、日本全土を震撼させる事件が発生した。大和の無条件降伏勧告を承諾する意向を固めた聖夷政府。それに対し結成された降伏反対派がクーデターを断行したのである」

    「輪島桜虎は、行政改革を推進した。農村漁村の人口を増やし、生産力を向上、財政対策では貨幣を刷新。軍事面では屯田兵制度を拡張、街道や水路の開発修繕を行った。20万人にのぼる失業者をわずか1ヵ月で半数以下にまで激減させ、破竹の勢いで国民の支持を高める」

    「聖紀51年春。ここに総帥輪島桜虎の独裁体制が確立されたのである」

     

    第5話 辺境将軍隊、出陣

    三角青輝

    「聖夷の偽計じゃと疑っておきながら、聖夷部隊に輸送部隊を送るなど、みすみす敵の罠にハマりに行くようなもの。帝は平殿器の口車にのせられて、この3年間駆使した屯田政策を水泡に帰すおつもりか!国の当事者ともあろうお方が、将兵や民の命をなんと心得る!」

    「龍門辺境将軍もまたしかり、この20年あまり、平家の専横によって弱体化したこの国を、異国の侵攻から死守してきたのは他でもない龍門辺境将軍が総大将を務めたからであろう!それを、こうも容易く平の息子に指揮権を委ねるとは、言語道断!」

    「事は能を善とし、動は時を善しとす。感謝します、ツネちゃんさん」

    「(手取川といえば、日本有数の急流河川。雪解けの時期で氾濫しとる可能性もある。渡河地点で急襲されれば、十中八九部隊は壊滅する)」

    「(賀来軍師。辺境将軍隊の筆頭軍師。3年前の長篠の戦いでは武凰軍の布陣場所を予測し、わずか20名の将兵で奇襲を成功させたとか。数々の功績を残し、属員からこう称されとる『賀来は決して失敗しない』じゃけど、わしら留守組にも現状を共有したんじゃ)」

    「権限のないわしら留守組に安易に現状を共有すれば、不安と混乱を誘発させるだけ」

    「守山記室令の聖夷帰順進言から流罪までが、龍門辺境将軍や賀来軍師が何かしらの目的のために、仕組んだもんじゃと仮定します。……じゃけど、それなら、わしも事前に話を聞いとかなきゃ辻褄があわん。まさか、わしが守山記室令を流罪にすることを想定して?いやいやそうやとしても?」

    「まさか、守山記室令が聖夷帰順の進言をすることを、あのお二人は想定して?」

     

    阿佐馬芳経

    「焦るな、三角くん。今はまだ情報戦の段階。つまり、誰が正しいか分からんちゅうことや。それに君も言うてたやろ、歴史はどれも例外ばかりで出来ている、と。龍門辺境将軍が指揮権を奪われたのはしゃあない、せやけど、策を講じて先の形勢を打破することも可能」

    「べつに……(このあったまカッチカチの三角くん、諫めるとはやはり私はすごいなあ)」

    「(ほんで、平の息子を死なせたら龍門さんの軍権や命すらやばいやん)」

     

    龍門光英

    「申し上げます、陛下。ここは慎重に対処すべきです。これはあきらかなる聖夷の偽計。兵法三十六計、第三十四計にあたる計略、苦肉の計でしょう」

    「わざと自身や味方を傷つけ、傷つけられた人を信用してしまうという心理を逆手にとり、敵を欺く計略のことです。聖夷は12年前に大和に、苦肉の計を仕掛けました。当時、入隊直後だった軍師の賀来が、事前に聖夷の偽計を見破ることができた上、聖夷軍の総大将を討ち取り、勝利することができたのです。討ち取った聖夷軍総大将の姓は、輪島。目下の聖夷総帥の姓も、輪島。陛下、どうかご明察を

    「お待ちください、陛下。聖夷の偽計であれば、大軍を失うんですぞ。勅命の撤回を」 

    「私たちもこれより加賀省へ向かう。話は以上や。ほな皆、留守を頼むで」

    「目下、戦が差し迫っておる。今後府にて妄言を吐く者がおれば、軍法にのっとり断罪する。ほな、しっかりと留守を頼むで」

     

    賀来 泰明

    「外敵からは苦肉の計、内敵からは離間の計ですか。いやぁ、ほんま大変っすねえ、龍門さんも」

    「ってことは当たってた。勘で言うたのに」

    「聖夷からすれば、大和を討つ絶好の機会。あのデブからすれば、龍門さんの軍権を完全掌握する絶好の機会。まあ、でも策がないわけではない」

    「ほな、これを。ここ金沢が長尾武兎惇との合流地点です。金沢には日本時代のビル群もぎょうさん残っており、いわば要塞地帯。伏兵も配置しやすく、背には手取川がある。金沢に進めば、逃げ場はありません。長尾の投降が偽りであれば、わが軍は大敗を喫するでしょう」

    「いや、だって見事に洗脳されてるやん、思うて、つい」

    「せやけど、粥に使用された米は民が聖夷旧政権に過払いしてきた田そう。つまり、民の税。過払い分の税であれば、民に返すのは当然では?輪島は民にはそれを一切伝えず、さも自分が粥を与えたかのように振る舞った。そんで性急すぎる行政改革を行い、巧みな演説によって兵をまくらしではなく、戦争への道へと民を誘ったわけです。これすなわち、真の仁愛にあらず」

    「逆です。聖夷が明確に大義名分を掲げ始めたのは、輪島桜虎が総帥になってから。つまり、こう考えることもできます。大義名分があるから大和を討つんやなく、大和を討ちたい真の目的があるから、大義名分を掲げたんやと」

    「独裁者はいつの時代も美名のもとで戦争を始めます。復讐心にかられ民を欺き、戦火に巻き込み、天下泰平ではなく大和討伐のみを望む。これすなわち、大義にあらず。輪島桜虎など高潔ぶった愚かな独裁者に過ぎません、天下の器にあらず!」

    「私、勘がええんですわ」

    「私たち辺境将軍隊は、平家繁栄のために死力を尽くしてきたわけちゃいます。天下泰平という大いなる義のためであります。そんなことも分からず、辺境将軍隊に属してたとは、笑止千万」

    「天下に蛙の子は多かれど、蛙となるは稀らなり。薪に臥して天を諭すべし、これすなわち、雌雄を決する鍵となる」

    「秀才どまりの器か、あるいは奇才に化けるか。私はただ、後者に賭けただけですよ」

     

    平殿器

    「陛下。先ほどの私の話をもう、お忘れで?陛下のお味方は、平家のみですぞ」

    「殿継はああ見えて、子どもや。よろしゅう頼むで。もし息子を死なせたら、どうなるか分かってんな」

     

    平殿継

    「陛下!このハゲを信用したらあきまへん!」

    「申し上げます、陛下。この機を逃せば、我が国の北伐はさらに難攻することでしょう。私の情報は正確です。陛下、ご賢明な判断を」

     

    ナレーション

    「聖紀51年、春。聖夷の首都、聖籠にてクーデターが勃発。一夜にして新政を樹立し、各地で決意表明を行った輪島桜虎は、その人柄と政治手腕で、瞬く間に民の心を掴み、聖夷国内での大和討討伐の機運は高まっていったのである」

     

    第6話 開戦前夜

    三角青輝

    「確かに、聖夷が打つ一手として、手堅いのは金沢にて大和軍をはさみ撃ちすることです。聖夷からすれば、大和の主力の大軍を討つ好機」

    「じゃけど、忘れてはいかんのは、金沢は聖夷の領土じゃということ。金沢で大軍同士がぶつかりあえば、聖夷も無傷では済まんでしょう。土地は荒れ果て貧しい者も増える。武功を立てた将兵らに褒美の土地も与えることもできん。政権交代直後で、不安定な聖夷としても、自国での戦闘は避けたいと考えとるはず」

    「わしの考えでは、おそらくここ。福井群、奥越県」

    「ツネちゃんさんの仰る通り、普通に攻めたら鉢合わせになる。つまり、聖夷軍が侵攻するには、白山を経由して奥越を攻める。この手しかありません」

    「1か月前までであれば、そうでしょう。聖夷新政権の国内政策を記した民間の報告書には、こう書かれていました。軍事面においては、屯田兵制度を拡張。屯田兵は農業、軍事のほかに、街道や水路などの開発修繕、拠点の普請や整備。災害救助などにも携わった。もし、これが目下の戦の布石じゃったら……」

     

    阿佐馬芳経

    「つまり、大和軍を金沢に留めている間に、大和に侵攻したろってことか?」

    「ちょい待てや。聖夷の白山区は山間部で災害も多い地域。それに、日本時代が終わりを迎えてから街道の整備もロクにされてへんって、ママから聞いたことがある。もし仮に少数精鋭の兵で白山を越えて、福井を落とせても、その領土を維持するのに最低でも5万の兵が必要や。やけど、現状1万の兵すら来られへんで」

     

    龍門光英

    「金沢には行かへん。私らまで金沢に行ったら敵の罠なら全滅やで。平大司書に伝えておいて、ほな、頼むわ」

    「福井に?ここから福井に戻れば、金沢でなんかあっても間に合わへん。勝算はあるんか?」

     

    賀来泰明

    「ただの宴会やないことは確かです。宴会は毒殺や奇襲にうってつけ。自分の領地内で行うなら尚更です」

    「ただ、不透明だった聖夷軍の動きが、すこ~し見えてきました。龍門さん、ここは福井に戻り、態勢を整えるべきかと」

    「ゆえの、逆張りです」

     

    平殿継

    「(え?無視?こいつ噂では誰笑った顔見たことないくらい、寡黙な猛将らしい。確かにここ数日、こいつから聞いた言葉。……まあ、ええわ。私が加賀省併合という歴史的功績で帝から、辺境将軍の官爵を賜ったら、こんな陰気なおっさんすぐに首にしたるし)」

    「これはこれは、菅生中将。よう喋るようになったやん。ほな聞くけど、中軍はまだしも辺境将軍が率いる行軍がくるのは何日後?ごっつ時間かかるのちゃいますの?ほんで、白山区の調査が済むのは何日後?金沢だけでも調査するのに1,000の兵でまる2日かかったのに。もしも、その間に長尾折衝督が死罪になり、罷免されたりしたら、それこそ一巻の終わり、ちゃいますの?ただただ、時間と労力を浪費して、手ぶらで帰って陛下になんて申し開くおつもりで?」

    「ええか、おっさん。ここでは私が最高指揮官や。次、私をいやぁな気持ちにさせたら、父上にチクって一族郎党、皆殺しにしたるからな。ほな、いこか」

    「ああ、あれは彼の趣味ですねえ」

     

    菅生強

    「川を……手取川渡ったら、逃げ場ないで。金沢に兵はおらんくても、隣接する能登省、越中省にはおる可能性がある。白山区を調査してへん、もし白山区に聖夷の大軍がおったら、はさみ撃ちされて一巻の終わり。これ、……ガキでも分かる話やで」

    「では、角砂糖を一つ」

    「どうせ、死ぬんなら好きな物食って死ぬほうが幸せやから」

    「うまい」

     

    佐藤義長

    「平泉よ。もし帝が援軍出すざってなったら、誰が指揮官として軍を率いてくると思う?」

    「内務卿平殿器。奴しかえんで。もし奴が聖夷に勝利したら、龍門辺境将軍の軍権は剥奪され、奴のもんになる。それだけは絶対に避けなあかん」

    「龍門辺境将軍が加賀から引き返してるとの情報がある。で、あれば早ければ夜には奥越に着く。それまで耐えやっさ!」

    「平泉。私の首を差し出したのちに、兵らと民を連れ、龍門辺境将軍隊と合流する。城の食料は奴らに渡すことになるが、噂の新任監事のおかげで、福井には食糧がぎょうさん備蓄されとる。あとはおめえに任せる。私を信じて進め」

    「おめえらの気持ち、この佐藤義長が受け取った。いくで、若い衆。不惜身命の覚悟で、この城を守るっさ!」

    「私が九頭竜城、城将佐藤義長や。私の首が欲しいなら、おめえの手で獲れや!」

    「だけど、おめえも最初は無名だったはずや!モブども、モブども、モブども!さっきから私らのことをそう言うているけど、無名やった頃の自分に同じことが言えるか!日の本に生きる誇り高き侍として、白昼堂々言える自信があるか!おめえなど、龍門辺境将軍の手をわずらわせるまでもねえ。だが、これだけは覚えとけ。おめえが死に際に見るのは、この無名の将の顔や」

     

    平泉緋那

    「金沢への常備兵輸送の影響で援軍は期待できません。佐藤城将、ただちに大阪に援軍要請の給紙を送るべきかと」

    「無視します、その命令は普通に無視します」

    「私も若い衆もずっとあんたについてきたんやでな。あんたも九頭竜城の城将ちゅう大役を龍門辺境将軍に任されてから、伊達に長年務めてきたわけちゃうやろ。勝ち目がないのが一目瞭然。でもここであんたを犠牲にして逃げたら、あんたを慕い、今日ここで散った者たちに顔向けできん!やから、一緒にこの城を守ろっさ!」

    「全軍!佐藤城将に続け!陣形を乱すな!」

     

    輪島桜虎

    「パパ、時は満ちたよ」

    「開戦」

     

    長尾武兎惇

    「いやあ、まじで偽計どうなるかと思ったけど、大和の指揮官、無能でよかった」

    「さて、盛大におもてなししてあげるっすよ。大和のみなさま」

    「(右中将、菅生強。あんただけはまだ俺を疑っているっぽいっすね。そして殿継自ら、菅生の監視をするってことは、自国の将兵を全く信用してない証拠。それだけ軍事において辺境将軍の名声が圧倒的ってこと。なんにせよ、この状況は好都合。万が一、真の計略が露見したとしても……)」

     

    九羅亜輝威

    「モブの分際でこの俺にケンカ売るとは、良い度胸だ。誰だか知らねえが、俺を倒したきゃ強え奴連れてこい。フン、龍門とかをよ」

    「気に入った、おもしれえモブどもじゃねえか」

    「よっしゃ、おまえら。あいつら相手にだっせえ戦い方する奴は、俺がぶっ殺す。われに続けえ!」

     

    ナレーション

    「大和暦60年春。北国聖夷の輪島桜虎は、白山をたち、西へと軍を進めた。大和と雌雄を決するためである」

    「聖夷軍は二国を繋ぐ谷トンネルを突破し、奥越に侵入。町を焼きはらいながら、九頭竜城に迫った。九頭竜城の兵数わずか2,000に対し、聖夷軍総勢7万である」

     

    第7話 金沢夜襲

    三角青輝

    「じゃけど、聖夷軍の侵攻からまだ5日。なぜこんなにも早く戦局の話が広まり、示威運動が盛んになっとるのか。どうもわしには腑に落ちません」

     

    阿佐馬芳経

    「物騒、物騒。もう都内でも戦争ムード一色かいな。せやけど、もし私が従軍してたら今頃ツネちゃんさんコールが響いてたんちゃうか。なあ、三角くん」

    「(この七三、私を無視しよった)」

     

    龍門光英

    「そうやって奥越への増援を出し渋った結果が先の戦や。各拠点を各々で守備せんとする補償戦的防衛戦術は領土すら守れへん下策やと身に沁みて分かったやろ」

    「全戦力の迅速かつ確実な結集。これが達成されへんことは戦力の相対的優勢を放棄し、勝利の可能性を狭めることと同義である。領土は失っても取り戻すことはできるが、人は失えば二度と生き還ることはない」

     

    賀来泰明

    「奥越侵攻の規模を考えれば、聖夷にも金沢の主力部隊に攻撃を仕掛ける余裕はないでしょう。しかし、開戦したことを知らない以上は、彼らは人質に取られたも同然」

    「しかしすでに手は打っております。あとは彼らの働きに任せるのみです」

     

    平殿継

    「話が違いますやん、父上。金沢では何も起こらへんって、そう言うてはりましたやん」

    「私の宿の衛兵は、私を逃がすために戦って死んだ。たまちゃんも死んだ。みんな私が信頼しとる数少ない者たちや。むっちゃ仲間がおるおまえに、何がわかんねん。殺すぞ」

    「数々の非礼を詫びる。此度の一件は菅生中将の助言を無視し、金沢に軍を進めた私に全責任がある。これ以上蹉跌をきたし、後世に汚名を残すこことは私も望まへん。それに、大和に帰還して父上に問わなあかんこともある。……どうか、どうか私に力を貸してほしい」

    「頼む」

     

    菅生強

    「私にも大切な家族がおる。先月4人目の子供も産まれた。……いざは常、常はいざなり。お互い足下すくわれんよう」

    「いや、金沢には私らしか到着してへん。もしそれが聖夷の策略やとしたら」

    「私を殺してその後どうする、そんな傷を負った奴が聖夷兵がぎょうさんおる、この宿屋街から一人で抜け出せると思うか?抜け出せたとして、3万あまりの大和兵は各兵舎に分散させられとる。そいつら全員をまとめ指揮し、国に戻れる自信はあるか?今、想像してええ未来が見えたなら構わず私を殺せ」

    「さっきの借りを返す。聖夷の増援が来る前に、ここから脱出するで」

     

    長嶺士遼

    「金沢におる大和兵はわしに任せとけ。生きて大和に戻るぞ、二人とも気張れ!」

     

    長尾武兎惇

    「龍門は福井、菅生らはそれを知らず、長嶺は手取川を越えていない。……じゃ、菅生らをやるなら今夜しかないっすね」

    「龍門らが福井に引き返した今、菅生らを留めておく理由はねえっす。逆にこれ全部菅生にバレたら俺らの命がヤバいっすよ」

    「もう一度言うっすけど、菅生らやるなら今夜しか無いっすよ。……君らがこの戦でやったことって、ただただ俺を鞭打ち、ただただオールで宴会しただけっすよね?苦肉の計にしても、本命の龍門らを逃したから、成功したかって言われるとなんか微妙やし。このまま何の結果も出せなきゃ、君ら政権内で立場ないの、分かってるっすよね?」

    「この夜襲では原則として、銃や火矢の使用を禁じる。敵に気づかれずに迅速に夜襲を遂行するため、そして何より無辜の民を巻き込まねえためっす。見張りを殺したのち、一斉に夜襲をかける」

    「ではこれより、大和の賊どもを一掃する。全員、心してかかれ」

    「(輪島総帥。報告楽しみにしててください、今夜こそ聖夷の男として、為すべきことを為しますから)」

    「まさかお二人が協力するなんて、俺もさすがに予想できなかったっす。で、今のは奥さんのビンタ?より痛かったっすか?」

    「悪く思わないでくださいね、こっちにも事情があります」

    「輪島総帥。俺、しくじったみたいっす。嫌われちゃったなあ、俺」

     

    ナレーション

    「左中将長嶺士遼は、潜伏させていた部隊を率いて、聖夷兵を一掃。金沢に駐屯していた大和軍をまとめ、右中将菅生強、大司書平殿継らとともに、龍門らを助けるべく福井へ向け軍を引き返す。金沢では兵士合わせ104名が討ち死に、聖夷側も多くの主力が命を落とすこととなった。こうして長尾武兎惇が画策した金沢夜襲は、幕を閉じたのである」

     


     

    この記事を書いた人
    組員サブロー

    任侠作品が好きな、ただの一般人。
    ●義理人情な優しい行動をみるとよく涙を流す。
    ●「このサイトを通して、素敵な時間を過ごしてほしい!(╹◡╹)」「任侠作品の参考書に!」と日々更新中。時々ゲーム攻略!

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