第7話 煉獄
ターニャ・フォン・デグレチャフ
「肉壁として将兵をすり潰したまでのことです、己の才覚ではありません」
「小官の立場としては、形式的儀礼を尊重し沈黙すべきかと」
「自分を信じておりますので…(いつだって我が道をゆくのだ。存在Xのような輩に運命を委ねるより、己の自己決定権を信ずる、それが近代人としての矜持に他ならない)」
「やはり物そのものが足りませんか」
「本国は現実を知らないのでしょうか」
「(味方を撃つのだけは勘弁願いたいのだが)」
「僭越ながら、小官は帝国軍の軍人です。合法的な命令に服従する義務を負った軍事機構の一員に過ぎません。義務は裏切れません。そこからの逸脱は結果的に帝室と祖国に対する叛逆であり、小官は義務を果たします」
「ならば東部の空を徹底して確保しえなければ」
「(やはり現状を変えるには、政治家連中の目を覚ますしかないのか)」
「最低限、戦線整理はやり遂げました、ですが小手先です。小康状態の保全では確実を意味しえません。長期的展望のもと、不可避な決心……」
「閣下。小官は一介の魔導中佐に過ぎません。参謀課程を経ているとはいえ、野戦勤務が長すぎるため……」
「では、お言葉に甘えさせて頂きます。勝利への道筋が見えぬのです。現場からでは、上層部の戦争指導が理解できません。どのように戦争を終わらせるつもりでしょうか。その具体案は、敵野戦軍の撃滅でしょうか。それとも要衝の占領でしょうか。目指すべきゴールは?帝国が追及する国家目標は一体どこにあるのでしょう?」
「勝利?我々は戦争を終わらせるために、どのような勝利を求められ…」
「それでは軍は『勝利』とだけ命じられているのですか?」
「つまり『最高統帥府は、目指すべき実質的なゴールすら策定しえない』と」
「健康志向を否定はしませんが、文明人としてカフェインを欲するところですね」
「味のいいことで知られたこの食堂が、まさかこのような状況とは」
「いやはや、総力戦とは恐ろしいものであります、な!……ですが所詮は穏やかな労苦です。戦時下ともなれば、それぐらいは甘受してもらうほかありますまい」
「お気持ちは分かります。しかし、必要が理性を求めます。断固たる意志の欠如は、機会損失と同義であり、妨げでしかありえません」
「歪とは、このことか」
「しかし、希望を見出すこともできましょう。……人々が過度に感情的でないのは、まだ国家理性を宿している証拠であります。我々も近代人である以上は、自由意志に基づき、論理的な話し合いを進め……」
「つまり、閣下は『この静けさこそが危うい』と」
「(確かに世論を軽んずれば、たとえ戦争が終わったとて、混乱は避けられないだろうな。いつの時代も世論とは不可解なものだが)」
「なればなおのこと。我々は為すべきことを為されねばなりません。平和のために」
「臆病者ですので」
「ぜひ、参謀本部出版で印税を期待させてください」
「なんとも光栄極まりません」
「ヒドイ戯言だな。プロパンダとは信じさせるものだろうに(誰もが夢を見たがっている、偉大な祖国の、偉大な勝利を。正直頭がおかしくなりそうだ)」
「(いや、おかしいのは私のほうか。これまでは後方での文化的な生活を望んでいたが、今の帝国に生きる以上、望みは叶うまい。よくもこんな世界に放り込んでくれたな、くそったれの存在Xめ)」
ハンス・フォン・ゼートゥーア
「ひいては、それを命じた人間の責任と?面白い嫌味だ」
「あいかわらずだな、貴官は揺らぐことがない」
「兵士はおろか要職も砲弾もままならんようだ、これまでは私が専務として、無い袖を振ってでもやりくりしていたのだが」
「中佐、帝国は勝利依存症なのだ。悲しいほどにな」
「我々は内なる課題に勝利せねばならない、そのためには悪い手札を覚える必要もあろう」
「一つ、貴官も共犯者になってくれたまえ」
「(否定も肯定もせずか)……大変すばらしい。よもや違う返答であれば、討たねばならなかったが」
エーリッヒ・フォン・レルゲン
「第一に、参謀本部と最高統帥府は東部における大規模作戦の責任問題で荒れている。軍はまたしても、不可能を期待されているのだ。『今すぐ戦争を終わらせろ、すばらしい勝利で』と」
「それが第二の点だ。西方の航空情勢は著しく悪化している、東部どころか南方大陸からの撤兵も検討されるほどだ」
「最後に一つ。首都空襲をやってもらうことになるやもしれん」
「違うのだ、中佐。目標は…………いや、やめておこう。鉄槌作戦では劇的な勝利を収めた。私はイルドアによる講和交渉の一端を担っていたが……あれは本命だった。軍が用意した停戦案を、政治家どもが認めさえすればな」
クルト・フォン・ルーデルドルフ
「儀礼的な挨拶はよせ。いかなる理由があろうとしくじった事実は変わるまい。そこでだ、前線からの忌憚なき意見具申を頼む」
「待て。私はゼートゥアと違う。悠長な議論を偏愛する悪癖はない。 結論だ、結論を先に言いたまえ」
「結論か退室か、選べ」
「勝利だ。それ以上でもそれ以下でもない」
「その通り、止めるという選択肢を捨て去ったアホ共がいなければ、とうの昔に終わっている戦争なのだがな。嘆けど、祈れど、終わらずだ」
「貴官は少し思い違いをしているようだ。これはあれだな、『木を見て森を見ず』というやつか。中佐、最高統帥府の政治屋連中も国民感情を恐れる生身の人間に過ぎん。連中もマグマのような世論に溶かされたくはないのだ」
「ああ、幼いながらの生粋の軍人。人生の大半を最前線で過ごしてきた貴官には実感がわかぬかもな。……貴官は今の帝都を肌で感じ、身をもって祖国の世論を知る必要があるようだ」
「彼らを見たまえ。あの手の棺は遺体が入っていない、重そうに担ぐ演技だとしても、なんとまあ、ひどいものだ」
「病人と若造が死者の棺を担ぐ。この光景こそが、帝国の現状を正しく物語る。だが、それとは違う物語もある、人々の顔をよく見てみろ」
「今や帝都の住人にとって、戦没者の棺も日常と化した。ゼートゥアのやつであれば『死の普遍化』とでも言っただろうな」
「貴様、アホか。……アホだな、貴様。もう少し頭を使え。そして常識を取り戻せ。怒りというのは限度を超えると平坦になるものだ。沸騰しきった人間ほど案外落ちついてみえる。叫べるうちは声に出る。だがどん底に落ち、声が出なくなってからは」
「ああ、帝都はもはや爆発寸前の火薬庫のようだ。帝国という国そのものが煉獄にある。中佐、火のついた世論は怖いぞ。化け物以上だ」
「そこまでの、平和愛好家だとは知らなかった」
「臆病者?貴様が?驚いたな、何かの童話になるほどだ」
「印税ときたか。いいとも、約束してやる。無事に戦後を迎えたら、貴様の告白を絵本にして出してやる」
「タイトルは、そうだな……『臆病者の英雄』で、どうだ?」
マクシミリアン・ヨハン・フォン・ウーガ
「閣下の仰ることの一端は、すでに貴官の目の前にもある」
「前線を支えるため、後方はいまや全てがまがい物だ」
「中佐、一つ貴官に提案がある。悪く取って欲しくはないが、貴官には少しばかり人間の感情を汲んでもらいたい。平たく言えば、人間としての当たり前をやってもらいたいのだ」
「ただ、貴官は物事の理非に対し、即決を求めすぎる。挙句、出来ぬ輩を否定しすぎる。感情というのは頑強だ。こじれたそれを解きほぐすには、どうしようもなく時間がかかるものだ」
「それだ。その精神が理解できん。皆が皆、貴官と同じように生きられるわけではない。私とて、いい歳をした大人だ。参謀将校としての規律訓練も受けた。にも拘わらず、今の私は幼子のように泣き出したくてたまらない」
「私は参謀将校という怪物であり続けることができん。きっと娘が産まれた時からだ。正直、後方勤務を勧めてもらったこと、心より感謝している。軍人の私でさえ、この有様だ。貴官も明日には目の当たりにすることだろう。疲れ切った帝国を、帝都の現実というものを」
存在X
「ここにあるのは歪んだ日常。非日常であるべきものが、日常と化して久しい。壊れた平穏。恐怖は後方まで染み込んでいる。人間性をすり潰されるのは、最前線だけと思っていないか。世界の理性が粉砕され、混沌は増すばかりだ。故に超越的な存在よ。信仰を求める。誰もが皆、恐れているのだ」
第8話 雷撃
ターニャ・フォン・デグレチャフ
「さて、仕事の説明だ。作戦名はバルバロイ。任務概要は、旅行代理店の真似事だ。連合王国艦隊を内海より退場させ、南方大陸派遣軍をロメール閣下たちを帰国させる」
「とは言え、南部の艦隊戦力は微々たるもの。本来ならば安全なイルドア経由で帰国したいが、軍の通過が拒否された。素晴らしい同盟国様だな。友邦が当てにならぬ以上、諸問題を独力で解決せねばならん。風見鶏の目の前で、連合王国のクソどもを地獄に叩き落とすぞ!」
「(私に信仰心など欠片もないのだが)」
「長期的には正解だとしても、今現在、無策で戦えばそれは単なる浪費でしかありません」
「ございます、水雷。特に航空雷撃は極めて有望かと」
「でしたらば、いっそ魚雷に魔導士でも載せてはいかがですか?……魔導士に魚雷を敵艦まで誘導させ、直前で離脱、確実に命中させるのです。魔導士なら命中後の攻撃も可能です」
「(そういえば、そんなことを口にしたような気もするが、誰だって自分で使う気が無ければ、無責任に良いアイディアを現場に投げられるものだな。これも存在Xの嫌がらせか、そうだろうな、因果すぎる、ああもういい。もう分かった、貴様がそのつもりなら……やるまでだ!)」
「ほう、豪勢ですな。前菜に大型巡洋艦、メインは空母に戦艦ですか」
「それに、イルドアのお友達も見ているはずです。結局、現場で帳尻を合わせるしかなし。ぶん殴ってでも、幸運の女神とやらの後ろ髪をひっつかんでやるまで」
「搭乗前の最終確認だ。我が方のV2は12本のみ。割り当ては慎重にいかねばならん。空母と戦艦は絶対に仕留めろ、手順を間違えるなよ。魚雷の命中直前には離脱して浮上だ。その後は駆逐艦と交戦せよ」
「あまりに、なんだね。指揮官先頭で私が行く。ついて来れば済む話だ。それ以上でもそれ以下でもない」
「つまり、この作戦には我々魔導部隊の力が不可欠なのである」
「祈るだと?済まんが中尉、まず人事を尽くしたまえ。己の力!人の意志!それで、……やるべきことやり遂げるぞ」
「よろしい、緒言を受領した。最終確認、発射準備!」
「よろしい、諸君。問題は無いようだな」
「よろしい、大変、大変に結構だ。……始めるぞ!」
「祈る前に手を動かすことを覚えろ。口が先に来るとはおめでたい連中め!」
「見たか、存在X!貴様の理不尽な試練など屈してたまるか!これが近代人としての意地と誇りだ!」
「(神の思し召しなどクソくらえ、憧れの印税生活のため何としてでも生き残ってやる)」
「これはこれはイルドアの皆さま、お出迎えありがたく!」
エーリッヒ・フォン・レルゲン
「『人知らずして恨みず。また楽しからずや』と返しても?」
「(イルドアも全く面の皮が厚い、本国もお灸の一つもとなるわけだ。受け入れるのは部隊じゃない、単なる12人の表敬訪問。イルドアがそう言い張ったところで、あれは魔導中隊だ。良い踏み絵なわけで)」
「(やれやれ、どこまでも茶番劇だな。完全に裏口、とにかく人目を避けての友好親善とは)」
アーデルハイト・フォン・シューゲル
「今回の作戦の鍵は、私が用意した!見たまえ、これだ!V2!まさに神のご加護がもたらした革新的な兵器!完璧に信心深い誘導魚雷だ!」
「思えばV1は、まっすぐだった。私の信仰のように曲がることなく、まっすぐ、ただまっすぐに飛んだ。約束の地へと、ただまっすぐに。しかし!V2は、信仰者と共に自由に目的地へ向かえる。言うなれば、ツライ現実に向き合うための代物だな」
「どの道を行こうと、丘の上の理想へ辿り着く。まさに聖地への旅路を再現すべく、V2には最高の誘導性能をつけた。信仰によって導かれし諸君のように、決して迷うことがないように!」
「案ずるな、中佐!貴官の出番を奪ったりはしないとも!共に神の栄光を称える仲間じゃないか!使い方はV1と同じだ。諸君は、これを敵にぶつけるだけでいい。ああ、直前の離脱も忘れないようにな。たっぷりと積載された火薬が困難を吹き飛ばす様を、間近で目にすることができる!」
「ん~こればかりは主の御心次第だな。つまり、安心していいだろう!」
「心配は無用!これは海軍のまぬけ共が開発したウナギとは別物。信管の一つに至るまで、私が万全の意をくばった、私のぎょ…!!ああ、すまない。本当にすまない!私の驕りを許してくれるだろうか、デグレチャフ中佐。私としたことが傲慢に身を焦がしかけた、我々の協力こそがこの奇跡を生み出したというのに!V2は貴官の提案と提言をキッカケに開発したのだ。言うなれば、信仰者同士の、信仰による合作!まさに、貴官と私の子どもだなあ!」
ヴィルジニオ・カランドロ
「『友あり、遠方より来たる。また楽しからずや』ですな」
「(連合王国海軍はちと負け過ぎた。となれば、我々も立ち振る舞いを微修正しますとも。なにせそれが許される中立国なのだから)」
「(ああ頭が痛い、よりにもよってデグレチャフ中佐の部隊を受け入れか。外交上、とても、つらい……)」
「(あの劇物と縁を持っておいてよかった!初対面ではとても!まともに対処できんからな)」
第9話 観光旅行
ターニャ・フォン・デグレチャフ
「(イルドアの不義理に対する友好的な観光旅行。正直威圧だが、誰も死なないラクでマシな仕事だ)」
「(そんなところに置いたら、振動で…揺れない?帝国では考えられん。保線状況がこうも違うか。平和の配当はかくも巨大か。平和万歳、羨ましい限りだ)」
「(果たしてどれだけのものか、この身をもって確かめさせてもらおう)」
「(うまい!感動的なまでに濃縮された旨味だ。肉の甘さを引き立てるほのかに刺激的なスパイスなど、まずいタルタルにありがちな胡椒で生臭さをごまかす小細工とは別次元!クズ肉のブルストに慣れた舌では卒倒しそうだぞ!イルドアの肉、恐るべし)」
「(!!?この鼻に抜ける爽やかな香りと甘味!こりゃあズッキーニか。初夏を感じさせる旬の野菜に加え、タルタルにも負けぬ旨味を下支えするブイヨン!シンプルな一品だからこそ感じられる丁寧な仕事だ)」
「(!!?合間に供されるやや軽めの炭酸水。泥水に慣れた口には、ミネラルの甘さが忌々しい程に感じ取れる)」
「(フン…何が食べ慣れていないとだ。こちとら元来は日本人、魚料理に対する評価は厳しいぞ。…………魚の旨味の限界すら超えたなにか。言葉で形容することさえ軽薄に感じる。そしてその爽やかな酸味のソースが、そうか、これこそがイルドアの誇り)」
「生まれて初めて、降伏という単語が頭をよぎりました。完敗です」
「とは言え、砲弾の前の平等も悪い体験ではなかったでしょう。またいつでも我々の塹壕に歓迎いたしますが」
「(観戦武官か。味方としての参戦はもとより、敵になる気も皆無だからこその言葉だ。大戦は完全に他人事か。平和で文化的で、何よりも豊かな世界からの観察者気取りか。なるほど)これはいらだてる。(いかんな、私としたことが他人に嫉妬など、非生産的な極みだろうに)」
「空気が明るいですな……戦没者を嘆く必要がなし、死者への負債が無い世界はなんとも」
「(私が上にかけあっても、せいぜいジャガイモぐらいしか確保できんだろうに。どうにも惨めなことだ)ご厚意に感謝します、我が部隊一同、大いに飲み食らうと思いますが、差し支えないでしょうか」
「共に血を流す代わりに、燃料を流すというわけですか。ご配慮に御礼申し上げます。機会があれば、皆様のご支援を広く触れて回りましょう」
「帝国の敵には睨まれ、帝国軍人はほとんど感謝しない支援ですかな」
「誰の敵でもないということは、誰の友でもないと申しますが?」
「(イルドアは、正しい。戦争から距離を取れるならば取るべきだ。ただ悲しむべきことに、彼らが本心から戦争を望まないとしても、いや、全ては仮定か)」
「彼らと同じくらい、我が参謀本部の気前が良ければと思うよ。叶わぬ夢だと分かっているが」
「(レールの軋み具合で国境越えを実感か。同じ世界の国ながら、こうまで異なるとは。やはり次を考えるべきなのか)」
「(次を考えながらも、V2運用の報告書やイルドア滞在時の見聞記を提出せねばならない。次を考えながらも、慣習には縛られる。組織人としての挨拶回りやお土産配りは欠かせない)」
「私の部下が提言した予防策を聞き流した挙句、聞きたいようにはチャチャ入れ。軍務とは現実に対処することだとばかり思っておりましたが、他人の幻想を満たすことだとは、夢想だにしえませんでした」
「とはいえ、セクショナリズムに想像力の欠如。東部での教訓が生かされないだけでなく、優秀で誠実な仕官ほど報われないとなると、小官としても流石に」
「それは光栄ですが、お情けのメダルばかりぶら下げても、仕方ありますまい」
「(次を考えながらも…………いや、考える時間がない!まさにブラックな職場で転職活動すらもままならない状況そのもの!私は一体どうすれば?)」
「前線帰りの本音ですな。後方の幻想を満たせないだけで、現場の我々が面罵される、不条理の極みです」
「現状では手詰まりです」
「閣下!我々は言うべきを伝える義務があります」
「無茶です。イルドア全土を一撃で制圧しない限り、南方方面軍は泥沼に嵌ります。戦略的奇襲に成功したところで……(イルドアの連中、戦争への覚悟と備えがあるのか?いかん、今なら作戦次元ではやれるかもしれない。戦略的には愚行も愚行だが)」
ヴィクトーリヤ・イヴァーノヴナ・セレブリャコーフ
「お料理美味しかったですもんねえ。それに、なんというか色が豊かでした」
ロルフ・メーベルト
「砲撃準備を打ちきれ!近接戦闘、用意!」
「通信不通!事後、独断専行する!近接戦闘継続!」
クルト・フォン・ルーデルドルフ
「イルドアの制圧。最高統帥府は真剣に検討を始めおったわ」
「南方の懸案を処理すれば、南方方面軍から相当の戦力を東部に転用可能になるだろうという話だ」
「中佐。所詮、検討だ。成算なしとなれば上にはそれを説明すれば済む。気にしすぎるな、とはいえ活路が欲しいのも事実だ。イルドアの連中、そろそろ役立ってほしいものだがな」
ロメール
「現実はどこだね。現実への出口はどこにある?」
「人は見たいものだけを見て、見たいものしか見つけない。それはルーデルドルフ閣下とて同じだろうて」
「中佐!見えるものだけが全てと思うなよ」
ヴィルジニオ・カランドロ
「帝国の銀翼持ちを降伏させるか。貴官らは銃で戦い、シェフは包丁さばきで戦うというわけだ」
「もちろんだ、諸君らが航空用ガソリンでもガブ飲みしない限りな」
「我々なりの誠意さ。貴国と仲良くやりたいのだ。風見鶏ですまないがね」
第10話 活路
ターニャ・フォン・デグレチャフ
「転職する人の気分がいやという程よく分かる」
「ジリ貧を避けようと無謀な大博打を望む上層部。ジリ貧どころかドカ貧だ。上が白昼夢を見ての戦争だと?付き合いきれん。問題は抜け方か、存在Xがあざ笑うような結末は受け入れがたい。さりとて、犠牲の羊も御免被る。さて、どうしたものか」
「無理です、勝てません、これ以上は不毛と断言してもよろしい」
「完全な勝利をご希望で?ならば詐欺師にでもお尋ねください。知性ある軍人ならば誰でも小官と同意見かと」
「帝国軍は強力ですが、世界を単独で殴り殺せるほど強力ではありません。協商連合と共和国は退けましたが、連邦や連合王国は依然として我々に牙を向き続け、合衆国参戦の可能性も無視できません。いやはや敵だらけです、これでは勝ちきれません。出口なきジリ貧と評すのが論理的必然では?」
「勝利できぬ軍の恥を晒すようですが、まさしく……損切りに入る段階です」
「(正直、何と応えたものか。あいにく現場ですら意見が異なる、肌感覚と言われても。ああも鬱屈した世論ほどではない。だが、軍ほど死者への負債に引きずられる集団も稀だ。かと言ってグダグダと時間を浪費した挙句の降伏も、国家さえも滅びうるのだ。その自覚があれば大抵のことは損切りできるはずだが)所詮、小官は野戦将校です。戦略次元の視座からの提言にはおのずと制約が……」
「大佐殿、軍が国家の外交方針に溶解するのは明確な違反です。しかし、軍が国家に助言するのは義務であり、あくまでも試案と叩き台として提示し、ご理解頂くこと……」
「(帝国は願ったのだ、実力を示せば対話の席に相手を引きずり出せるであろう、と)」
「(ただ待つだけの身というのも、つらいものだな)」
エーリッヒ・フォン・レルゲン
「検討の結果です。やはりイルドア侵攻に成算はありません。開戦劈頭、戦略的奇襲の第一撃に全てを賭し、国境部にて敵野戦軍主力を撃滅。もって電撃的な進撃でイルドア北部を制圧。これで限界です」
「お言葉ですが、イルドア国境部からの兵力削減は厳しいかと」
「イルドアは中立国としてどこまでも国家理性に忠実なのでしょう」
「外見はともかくデグレチャフ中佐は確かな実績を持つ優秀な軍人です。発言こそ物騒かつ極端ではありますが」
「(この化け物は勝手に育ったのだが)」
「最高統帥府からの要望は、願望のホッチキス。ですが、参謀本部ですらまとまりません」
「現下においては、あらゆる艱難辛苦を甘受し、耐えがたき譲歩すらも必要悪と受任し、出口を目指す勇を振るわねばなりません。前方への脱出が必要なのです、我々は勝ち取るのです、出口を、平和を」
「無賠償、無併合、民族自決。この三本軸を」
「我々は受け入れる用意がある」
「バカな!我々が請求を放棄するのですぞ!これほどの妥協ですら不十分だとおっしゃるのですか」
「帝国にとっては、和を講う屈辱的な提案さえも第三者にとって厚顔不遜そのものだと?」
「見ている世界が違い過ぎる」
「カランドラ大佐、貴官もご承知でしょう。此度の戦争は協商連合の越境行為が契機。そうだ、始めたのは連中だ、帝国は挑まれた戦いで自分を守ったに過ぎない」
「ばかな!越境審判に対し、当然の自衛権を行使したまでのことで」
「この条件を蹴ってでも、戦争を続けたいと?」
「平和の回復という大義のもと、交戦国同士が歩み寄ることは不可能なのでしょうか?」
クルト・フォン・ルーデルドルフ
「イルドアの無力化により、南方の兵力を東部に投入など夢のまた夢か」
「分かっている。連中は徹底した風見鶏だ。同盟国としての友情を謳っておきながら、南方軍撤兵の際は受け入れを徹底拒否。ええい、忌々しい」
「帝国が拮抗状態を保つ限りは良い隣人だな。だがもし我々が弱り切ったら、その瞬間やつらはどうでる?」
「とはいえ、最悪に備えるのも参謀将校の務め。和戦両様だな」
「我々に残された時間の中で、外交的努力に最大限傾聴するしかあるまい。ダラダラと交渉してる間に、前線の将兵がどれほど血を流すか。無駄にできる時間など皆無だ」
「前の条件よりも悪化しましたな。時間と機会を浪費するたびに、帝国が得られる条件は悪化していく。時間は我々の味方ですかな?我々は負けていない、世界に認めさせましょう、我々こそが世界に艦たる帝国軍と。同時に認めましょう、世界を相手どるには幾分力が及ばなかったと。我々の拳は傷だらけですが、まだ世界を殴り飛ばせる、しかし殴り殺せるには力が足りません。振り上げた拳を収めそこなわば、世界を殴り殺すまで戦うはめになる。残された時間は有限です、だからこそ出口を探すべきではありませんかな。世界を相手どる前に抗う努力の一つも行うべきでしょう」
「時間がない。まだ我々の拳は頑強だ。まだ世界を殴り飛ばせる。だがいずれは、仮にイルドアを攻めようにも出口にはつながらない。でも今、殴らなければ、我々が殴る能力さえも喪失してしまえば、世界は、帝国をどう遇する?」
ハンス・フォン・ゼートゥーア
「状況は最悪、実にすばらしいことだ。…出口はやはり作れる」
コンラート
「我々は帝国という国家の僕です。ともに良い仕事ができることを願っていますよ」
「出口。それをあなたは外交に臨むのですな」
「帝国軍の教育は大したものですな」
「奇遇ですね、我々も我々で一枚岩とは程遠い」
「下らない派閥争いに、信念のないポピュリズム。前任者たちによって、幾重にも凝り固められたしがらみを解く時間は、もはや残されてはいないか。ならばいっそ、逆で行きましょう!我々で既成事実を積み上げてしまうのです。イルドアと軍同士の交渉で実務レベルのすり合わせを」
「私は前任者がクビになったおかげでここにいます。結果が欲しいのはどこの組織も同じですよ」
「左様。官僚のささやかな手練手札ですからなあ。外交とは内交でもあります。内部の調整無くしてはどんな外交も頓挫します。……なんとしても出口を。そのためには屈辱的な譲歩すらもご提案頂く必要があることをご理解いただきたい」
「外交とは無から有を生み出す点で錬金術に似ています。肝心なのは信用という素材、その原則は正当性と等価交換、あるいは両者がそう信じること。戦争が究極の現実だとすれば、外交は究極の非現実です。見ているものが同じでも、解釈が往々にして異なる。折り合うのは容易くありません、譲歩が譲歩と受けとめられないこともある。だからこそ、大胆な譲歩が必要ですが、賠償の要求放棄、事実上の白紙講和。今、帝国が出せる最高の条件ですな。軍は本当に承認を?」
ヴィルジニオ・カランドロ
「帰国が賠償を払う意志はないのですね?」
「レルゲン大佐。貴国の提案では、正直、挑発と受け取られるでしょうな」
「賠償も領土割譲も拒否。交戦諸国からしてみれば、露骨な挑発です」
「ええ、帝国の正義ですな。ですが、違う立場からの正義もありましょう」
「帝国が相当な譲渡を申し出て、初めて交渉の基礎ができると理解していただきたい。相手方はそこまで強硬です」
「失礼ですが、流れた血が多すぎる。向こうは向こうで手ぶらでは終われないのですよ」
「要するに、帝国は強すぎる。強すぎて怖い。怖い奴には滅んで頂きたい」
第11話 砂時計
ターニャ・フォン・デグレチャフ
「小官は理由なき殺人者ではありません。義務と名誉を知る将校に他なりません」
「軍の一元指導そのものを厭われるわけではないのですね?」
「馬鹿げておりますな。邪魔だから、ただ殺すと。ありえません。まったくもって論外です」
「本当にお分かりにならないのですか?これはなんとも。閣下、人間は貴重な資源です。無駄に殺されるべきではありません。単にルーデルドルフ閣下を殺せば、ただの浪費です。高級将官は今少し、有意義に死ぬべきでしょう。例えば、軍部独裁を機とした叛逆の首謀者として」
「ええ、その主をトリガーとして選別的に粛軍を敢行。危機対応を口実に一元的戦争指導をなし崩しで」
「手順は合法でやれるかと。一個憲兵中隊もあれば、関係者の拘束なども容易く行えます。あとはいかようにでも」
「表向き、ルーデルドルフ閣下には事故死していただくのが一番かと。遺品整理中に陰謀の証拠を発見してからの粛軍開始が理想的です」
「はい、閣下。この計画では一元的戦争指導を担われる覚悟のある方が必要です」
「痛恨の極みであります。しかし閣下、お言葉ですがお口元が緩んでおいでのようですが」
「いつでも、ずっと、そうであります」
「お言葉ですが、我々全員が人間です」
「この上なく、人です。神だの悪魔だのが、私の道に立ち塞がるならば、人間の力で叩き潰す定めとすら信じてやみません」
「(転職前に厄介な仕事を押し付けられるのは世の常。円満退職のためには致し方なし)」
ハンス・フォン・ゼートゥーア
「(戦前の規定を無視しての大将か。奉仕もずいぶんと安くなったものだ。作戦級の偉大な勝利でもってすらも、戦略次元はどうにもできぬ、ルーデルドルフのやつは、何を考えて積極策など……)」
「その上で聞きたい、貴様、正気か?」
「すばらしい、実現可能性を投げ捨てた点以外は完璧だな」
「アホ言え、活路はある!」
「条件を提示しようと思う程度には色気を見せたのだ。ならば、もう100。いや1000万程度、双方で殺し合えば、どんなマヌケでも対話ぐらいはするだろうよ」
「正気の欠片はあるようだな。なのに、外交努力を諦めるのか?」
「つまり、こう言いたいのか。殴れるうちに殴ると」
「ありえん。戦略が作戦に奉仕するなど」
「……貴様。それでも参謀将校か。…ベルが鳴ったからと言って、よだれを垂らしてどうする。いつから犬畜生に成り果てた?」
「現実を見ろ!ルーデルドルフ!貴様どうかしているぞ!」
「その頭は飾りか?!なんのための頭脳だ!理性を引っ張り出せ!」
「決まっている。我々が無能だったと、頭を下げ、いしもて追われるのみ」
「頭を使え、か。まったく愚かな友人に付き合うのもラクではない。本来であれば、大将閣下の権限で黙らせてやってもよいのだぞ?」
「まさかこんな状況でお互いに安い大将星をつけるとはな」
「おまえの断固たる意志は伝わった。友人として出来る限りのことはしよう」
「相変わらずだ。あれは死んでもなおらんな」
「中佐、一つ頼まれてくれ…………私の親友を一人、殺してもらいたい」
「我が親友どのの脳漿をぶちまけてくれ。そう言ったつもりだが」
「やつは、よりにもよって、ひっくり返してはならないものをひっくり返すとほざきおったわ。軍事的合理性でさえ、断じて国家理性には優越しえない。戦略が作戦に奉仕?ありえんよ。作戦次元ならば、私とても断固として勝利を求めよ。だがそれは、帝国の国家戦略があってこその話だ。戦略なき作戦、活用なき勝利。これでは全てが浪費だ」
「綺麗な出口のための準備が必要だろうな」
「ああ、だが強引すぎる手法では帝国の破産が派手になるのみだ。どう転んでも混乱は避けねばならん」
「中佐。……やれ」
「ルーデルドルフを元帥閣下にしてやってくれ」
「それこそがクーデターに聞こえるがね」
「悪くない、いや完璧だ」
「友を捨てるのだ、地獄に私の席を予約するしかあるまい」
「では、必要のために血を流そう」
「待て、あれは友人だ。どうにか本意にさせれれば、よくも覚えた。どうやら私にも未練が残っていたらしい」
「意外だな、中佐。貴官は人間かね?」
「だが、私はもう人間性を燃やし尽くした」
クルト・フォン・ルーデルドルフ
「時間がない、なくなってしまう」
「(これに、この声に我々は無意味だったと言えるのか)」
「オオカミ少年にならないように注意したつもりが、逆手に取られたか。対抗手段の研究に急がせるほかあるまい。敵もあの手この手だ、我々が遅れるわけにはいかん!」
「(そうだ、遅れるわけにはいかんのだ。我々は帝国は決して遅れをとるわけには……!)」
「(まだ、終わぬ。ゼートゥアのアホとは焦唇乾舌だろう。だがそれでも、時を逃すぐらいならば、今を、帝国の今のためにも!)」
「無論のこと、祖国の勝利を想えば、だ。西方防空戦における優勢を確保。継戦能力の盤石化を図りもって、イルドアを叩く。もはやこれしか道はない」
「そのための軍による一元指導がなければ、可能性の扉も開こう。新の総力戦だ。…軍にはその能力と、決意、覚悟もあろう。ならばやれるのだ!」
「すでに活路は断たれた」
「バカを言うな!すでに何人死んだと思っている!これ以上ムダに将兵を死なせることに何の意味がある!」
「外交の活路は時間とともに閉ざされていく。今ならば、まだ帝国は作戦優位を確保できる。だが、時間とともに、この優位させ失われるのだ!」
「これ以上、後手にまわることなどできん!応急措置は必要なのだ!」
「我々は負けられん。犠牲に見合った結果を出せずして、祖国になんと詫びるのだ!」
「ゼートゥア、貴様。戯言をほざく前に頭を使え、我々は帝国の軍人だ。必然の一つや二つ、ひっくり返してみせねばならんのだ」
ルーデルフドルフの娘
「あの日、出ていく前あの人が言ったの『もしもの時、私の、私たちのためなら……無駄な犠牲なんかじゃない』って」
第12話 出口
ターニャ・フォン・デグレチャフ
「(事情を知るのは真のおける副官のみ。目撃者は最小限に抑え、不幸の自己のタイミングを狙わねば)」
「(あくまでも整備不良の事故でなければならない、パラシュート脱出の機会を与えてはならない。絶対に失敗は許されない)」
「(私の知る限り、都合のいい偶然などというのは嘘だ)クソが、どう考えても単なる偶発遭遇ではないな」
「ヴァイス少佐!この場の直衛は任せる。やつは私が引き付ける!」
「貴様が神の使いとやらを称するならば、その羽根をもいでやる!」
「なんの考えも無しに、高度を上げるとは。信仰に頼るものほど、視野狭窄に陥りやすく助かるな。しかし、いつまでもこの宝珠に頼らざるをえないというのも、全く忌々しい」
「(あの宝珠、魔導反応の垂れ流しがひどいな。安全性度外視、マッドはどこの国にもいるらしい)」
「(ちくしょう、撃ち抜けん。なんなんだこれは、想定外のことが多すぎる。ならば……)
「仕事が出来過ぎるというのも問題だな。……共に落ちようぞ」
「主よ、御言葉あれかし。信ずる者を剣のごとく、研ぎ澄ます弓となさん。ああ、主よ、我は汝の矢。あなたが引き、あなたが地に穿つ一つの矢。それは偽りを穿ち、勝利ぞあれかし!」
「(ああ、私を狙うだろうと思っていた)」
「(他人が手を汚してくれるのであれば、それに越したことはない)」
「(とはいえ、印税生活の夢はまだ潰えていない、味方殺しの不条理さえ乗りこえたのだ。やはり近代の自我、強固な自由意志だけが未来を切り開く)ならばこそ絵本の1冊や2冊!他人に頼らなくとも、自らの意志をもってすれば、容易い!」
「どうだ、思い知ったか!存在X」
「まあ、いい。これで戦争も終わる。私もやっと足を洗える」
「なんだこれは。なんなんだ、これは。…………どうして、こうなっ!」
ハンス・フォン・ゼートゥーア
「友よ、許せ。もはや何もかもが変わってしまって久しい。義務、必要、友情、いったい何が正しかったのか。いつでも自分はじぶんのつもりだったが、流されて、選ばされて、せめて破局への道をマシにしようとあがくことのどこに、自分がある。神よ、このクソったれめ、祈りを返せ、希望を返せ。……いやらしい、もとより、畜生となる覚悟はあった、甘んじて卑劣漢にすらなろう。祖国の未来と歴史だけが、己を分かってくれればよい。それ以上を望めば、強欲がすぎる。人間性の残滓め、人ではダメだ。参謀将校ですら足りない、必要の、論理の獣。…………人の皮をかぶったバケモノか」
「中佐か、何事だ。護衛任務中では?……………ああ、……………そっか、ご苦労だった」
「懐かしの参謀本部だな、よろしく頼むよ、諸君!では仕事に戻るよう」
「まったく、肩書だけは長くなるが。おかげで一元指導という名目はたつか」
「仕事がある。やつには向こうで詫びればよかろうて」
「生まれてはじめて、連合王国人に感謝した。それ以上、私が言うべきことはない」
クルト・フォン・ルーデルドルフ
「いや、私にも分からん。ただ……虫の知らせというやつかもな」
「(奇妙なことだ。どうして別の下手人に思い至ったのか)」
「(やはり、敵か。人間、疑心暗鬼がすぎるな。不思議だ、敵の全力さを思えば思うほど気が楽になる。狙われているというのに、不愉快とは程遠い)」
「(あのデグレチャフでさえ、弱音を吐くか。いつかゼートゥーアのアホに話してやりたいものだ)」
「(友をゆえなく疑うとは……己は恥じなければならない)」
エドガー
「そこまでにしておけ。我々には我々の任務がある」
「なぜだ、どうしてこうなった?!」
アンソン・スー
「悪魔め、神の裁きを!」
ミケル
「(ソルディムで受けた命令は、今なお、党の最優先事項)見つけてしまった以上は、仕方ないな」
「ゲストのもてなしは、ホストの役目だ(どうして、こうなった)」
「残念だ、貴官ほどの者がまた同じ手に頼るなど」
| |



