| 1期、劇場版、閑話 | 2期 |
第1話 サラマンダー戦闘団
ターニャ・フォン・デグレチャフ
「ようこそ、我が戦闘団へ。これまで共に遊んできた素晴らしき戦友諸君、新たな仲間が戦列に加わることをここに祝おう。そして、新任諸君、歓迎しよう、盛大に。私の、我々の戦場へようこそ。この世界は理不尽で、戦場とは不条理の連続だ。とどのつまり、諸君、諸君は今や、抗うか、死ぬかを自由に選べるのである!ようこそ、前線へ!戦争の時間だ!」
「歩兵部隊は、そこぬけのアホ揃い。そんなところにこもり続けて何の意味がある」
「機甲部隊は、待てのできん駄犬か。今やるべきは攻撃ではなく、友軍の収容であろう」
「砲兵部隊は、バカの寄せ集めだ。その拠点が大量の砲弾を使うのに値するのか、考えもしないのか」
「おまけに新任の魔道士たちは弾避けにも使えん……ああ、無能な働き者ばかり。なぜ、私が戦闘団を!!ああ、やってられん!!」
「さすがはコミーか。弾薬も兵士も無駄遣いがお好きなようだ」
「今は私が戦っているだろう!連携というものを知らんのか!」
「コミーまで神にすがるとは、不条理な存在を好む連中にはうんざりだ。主よ、秤と秩序を善とされたまえ 平穏と約束の王国があらん事を。おお、それは導く者、苦難の道のりとて、丘の上にたどり着かん、そは約束された得た誉の家、安寧にして、正常な世界、地上に、世界に、福音あれかし」
「諸君らが教え込まれた弾性防御理論は、適切な定員、適切な装備、適切な補給あればこそだ。ここ東部では、その環境が用意され得ない。なのに諸君らときたら現実を頑なに認めようとしない。まったく、頑迷で無能な働き者ほどの害悪はあるまいよ」
「雪はどこまでも美しく、あまりにも無慈悲だ。かつての世界における大戦を例にひくまでもない。冬は兵士の体力を奪い、精神を削ぎ、その足を凍てつかせる。やがて雪解けはで泥濘となり、我々の足をすくう。機動力を誇る帝国軍にとって最悪の戦場だ……これでは勝ちきれん」
「諸君!事態は単純だ。我々は敵の大軍に包囲されようとしている。敵を受け止め、息切れしたところを見計らい、逆襲するしかない、防衛戦だ!持ち場の手綱はしっかりと握れ!」
「各隊警戒を続行。命令があるまで、現状を維持せよ。敵につられるなよ、根競べだ!」
「連邦の旅団も練度不足だったわけか。諸君、期待外れの根競べだったな。各隊、存分に力を見せつけたまえ!」
「(あの程度の勲功で評価を改めるとでも。幸か不幸か、私は軍隊の高級将校だ。この戦争に勝ちさえすれば、評価は無条件で上がる。だが、勝ちきれないとなると、責任を問われる立場に早変わりだ。上官命令抗弁がどこまで適応されるか分からない以上、多方面からの証言が私の行く末を左右する。ゆえに、今後は部下からの評価を、イメージを大切にせねばならん)」
メアリー・スー
「行き過ぎた行動は反省しています。……でも、これも神のご意思。絶対に打ち倒さねばならないのです、あの、悪魔だけは」
ロリヤ
「まったく、いけない子だ。たぎって、たぎって、どうしようもない……私の妖精さぁん」
第2話 奇妙な友情
ターニャ・フォン・デグレチャフ
「さすがはコミーだな。連中の掲げる崇高な思想とやらは、連邦全土に染み渡っているようだ」
「(それが前世からの信条だ)」
「『誰が祖国を想わざるものか』そう言ったな……くそったれ、道理で戦意が高すぎるわけだ。……分からんのか!コミニストと戦うつもりで、ナショナリストと戦争を続けているんだぞ!(今のやり方では、敵に塩を送っていたも同然だ)」
「端的に申し上げます、閣下。我々は殺し過ぎました」
「ですが、敵を銃弾ではなく言葉で減らせるのなら、言葉のほうが安上がりです」
「ではこの際です。イデオロギー攻撃などゴミ箱にお捨てください。……理屈ではありません、閣下。重要なのは大衆の感情なのです。宣撫工作というものは、我々に対する敵意を削ぐのではなく、分断するものでなければなりません。彼らは党への忠誠心からではなく、祖国を想う気持ちから銃をとっているのです」
「敵の精神的支柱はイデオロギーではなく、ナショナリズム。そうである以上、我々は共産主義者とそれ以外を分けるしかありません」
「いえ、統治に手を出せば軍事機構は疲弊して崩壊しかねません。我々に必要なのは、業務を委託できる素晴らしき友人です」
「しかし、外交の格言にはあるはずです『敵の敵は友』だと」
「(まさに善良な個人にして、邪悪な組織人というわけか)」
「(まったく、詐欺師もいいところだな、きっと地獄には閣下の特等席が用意されているに違いない)」
「(思えば、今回の一件も優秀な副官のおかげだ。ライン戦線以来の付き合いになるが、もはや友人と呼ぶのもおこがましい、彼女の他に付き合いの長い存在といえば)…………ふざけるな、誰が貴様などと、中尉!あの忌々しい人形はなんだ!」
ヴィクトーリヤ・イヴァーノヴナ・セレブリャコーフ
「厳密に申し上げるなら、上層部に対する不支持の表明です。最終報告書からは、そうした生の声が抜けているようでして……」
「では、悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように純粋で愛のように甘いコーヒーを用意しますね~」
マテウス・ヨハン・ヴァイス
「どれも似たようなものですね、まさに共産主義シンパの定型文といったところです」
「中佐殿は、ほんとうに共産主義者がお嫌いですよね」
ハンス・フォン・ゼートゥーア
「興味深い言葉だな。この歳になると、新しい友人を作るのも簡単ではなかろう」
「親愛なる聴衆の皆さま。我々帝国が望むものは明確です!平和!私もあなた方と同じように、ただ祖国に平和があらんことを望む一人です。平和、平和、平和、悪魔のような赤匪さえいなければ我々は!あなた方は!武器を取ったでありましょうか、我々は祖国を守るべくして剣をとったに過ぎません。平和を回復したあかつきには、武器を下ろし、愛すべき故郷に戻ることを約束します!我々には占領地域を併合する意図はありません。領土と主権を持つ自立した人々との共存を心より切望するばかりです。誰が祖国を想わざるものでしょうか!誰が故郷を想わざるものでしょうか!どうかお願いです、どうか、良き友人として、橋の上のホラティウスが如く、あなた方と共に歩むことを許して頂きたい!」
「小官は今日、この時をもって帝国軍を代表し、軍政区域の民政移管を宣言致します!……願わくはライヒとその良き友人たちの未来に、光あらんことを」
ロリヤ
「義勇軍部隊への派兵など、渡りに舟だろう。連合王国を敵にまわすより、味方として活用したいではないか。これからはイメージ戦略も必要となる。幸いなことに我々は、帝国という世界の敵と戦争をしている、我が連邦の善良性を広く示す必要があろう」
「だってそうだろう。例の部隊は、あの妖精さんを目撃したそうじゃないか。すぐに捕まえてあげるからね」
「同士書記長。問題が発生いたしました、帝国は手を組みました、連中は民族主義者と握手を交わしました。帝国軍の占領地域に、臨時政府の樹立と民政移管の手続きを始めています。……世界の敵に、あの帝国に、友人ができたのです!」
第3話 善意の仲介人
ターニャ・フォン・デグレチャ
「(優位に立ったかと思えば、すぐに劣勢。もはや悠長に保身を考えている場合でもないか。この戦争を終わらせるための落としどころはいかに……)」
「つまり、私は実現しないレルゲン戦闘団の次席指揮官であり、現サラマンダー戦闘団の指揮官に留まると」
「(名目上の責任者が用意され、人事の連中に恩が売れる?最高じゃないか……とはいえ)小官は国家の僕となることを誓った軍人です。含むところが一切なしとは申せませんが、それなり以上のご配慮を頂けるのであれば幸いです」
「陸戦条約は相互主義です。交戦国がことごとく本条約の当事者である時に限り、締結国間にのみこれを適応する。官権の限り、連邦は陸戦条約に調印しておりません」
「宗教施設であると示す特殊標章がないことは確認済みです。……我々は慣習法や規範をも尊重します。ですが、標章がないのは事実です」
「ご協力、ありがとうございました」
「(そうか、イルドアは講和の仲介を。探し求めていた出口を用意してくれるわけか。……つまり、泥沼から抜け出すため妥協できるかと?できるに決まっている!損切り!損切りあるのみ!)」
「条件?ございませんが。小官は軍人であり、合法的な命令に服する義務を誓いました。戦争の落としどころを上が決めるのであれば、従う以上の条件などあるはずもありません。合法的な命令の義務は、全てに優越します、軍人とはそうあるものです」
「驚いたな、貴官ですらそうなのか」
「割り切るしかないからだ。前線指揮官の本領は、選択と集中にある、必要とあらば損切りとて可能だろう!」
「(まずいな、信頼できる同期や部下までもがコンコルド効果に陥っているとは。これは参謀本部や最高統帥府が現場の説得でのたうちまわるぞ。最悪は力で鎮圧か?味方殺しは今後のキャリアにはよくないのだがな)」
マテウス・ヨハン・ヴァイス
「結論から申し上げますと、犠牲に見合う成果と犠牲をこれ以上出さない未来であれば、後者を希望します。ですが、割り切れません。ここまで血を流した挙句、何の成果も得られないのはさすがに……」
「むしろ中佐殿はなぜ割り切れるのですか?!」
「失礼ですがそれは理屈です。それは理屈なのです!」
エーリッヒ・フォン・レルゲン
「(なるほど。いきなりの動員演習の裏には、そのような魂胆が)」
「つまり、名目上は貴官の軍功を奪うことになる、どうか勘定してもらいたい」
「安心したよ。撃たれるかと覚悟していた」
「『クソくらえ』以上です。……わが軍は、断固たる意志に基づき、……鉄槌作戦を発動致します」
マクシミリアン・ヨハン・フォン・ウーガ
「いくら戦費を費やし、いくら死体を積み上げたと思っている」
ハンス・フォン・ゼートゥーア
「同感だが、イルドアは麗しき同盟国。捨ておくほうが安上がりというもの」
「(どうにか落としどころは探したい、いや探さねばならん)」
クルト・フォン・ルーデルドルフ
「同盟国ならば、観戦武官ぐらいは許されるだろう。作戦からはレルゲンを出す。やつならば見るべきものを見てくるだろうよ」
「南方のヒルめ。まさか中立面で仲介とは」
「錆びついたな。……貴様も錆びついたと言ったのだ、ゼートゥア。すでに最高統帥府にも話を通した」
「運命は己の拳で掴む!誰かの手に委ねなぞせん!」
ヴィルジニオ・カランドロ
「イルドア王国は、善意の仲介人として平和という商品のご用意があります」
「私たちは友人たちの間をとりもつことを惜しみません。まことに僭越ながら、落としどころを探す探す時期ではありませんか?」
「ええ、野戦連れした指揮官すらわきまえています。恐ろしいまでに、義務に忠実です」
| |



